冒険記録日誌
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2005年10月08日(土) 宇宙の連邦捜査官(A・チャップマン/社会思想社)

 FFシリーズ第15作品目。冒険の舞台はファンタジー世界のタイタンではなく、タイトルからわかるとおりSFです。
 ブーム当時は私は読んでいなかったですね。面白いFFシリーズはファンタジーものだけ!とか考えていたわけではないのですが、本屋で立ち読みしたときに顔の汚い女ボスとか、気持ち悪いヘビ女の挿絵を見て敬遠して買わなかったのです。
 普通の本でもそうですが、イラストから得るイメージって、私的には結構重要なのです。最近はおかまいなしで読んでいますけど。

 さて本書の感想ですが、人類が宇宙に進出し各惑星に人類が散らばっている未来という、いかにもなSFチックな舞台です。
 主人公は麻薬組織を摘発するという任務を与えられた捜査官。おおまかなシナリオは、序盤から中盤まで聞き込みなどで手がかりを捜しながら、犯罪組織と接触する段階。その結果、うまく組織の本拠地を発見できれば、後半から本拠地に潜入するという展開へとなります。
 捜査中は麻薬組織に監禁されたり、カーチェイスがあったり、銃撃戦があったりといろいろな展開が用意されていて、クリアに至るルートはかなり数多くあり。一方向システムですが、読者の行動の自由は非常に高く、難易度も易しい方でしょう。グッドエンディングも2種類あります。
 理不尽な展開も少なく、繰り返しプレイに向いているので、リビングストン作品ばりに難しい作品でないと納得できないというマゾ的な趣向の方にはお勧めしませんが、ゲームとしては良く出来ていると思います。
 他に印象に残ったのが、戦闘シーンが他のFFシリーズに比べてかなり少ない気がすること。ストーリー重視というか、“避けられる戦闘は避けた方がいい”という常識が通用するところは好感がもてました。他のFFシリーズでは、避けられる戦闘でも無理に戦って戦利品を収拾しなくては、後のまったく関係ないシーンで困ることとかありますからねぇ。でも戦闘が少ないわりに「さまよえる宇宙船」と同じく、素手の攻撃、射撃戦、宇宙船どうしの戦闘と、計3種類もの戦闘ルールがあるのはちょっと多すぎな気もします。それに避けられない戦闘シーンで初期能力値が低いと相当苦労する箇所が少しありますね。他のFFシリーズよりは断然良い方ですけど。

 ところでこの作品。先程“いかにもなSFチックな舞台”と書きましたが、そのわりに全然SFらしく感じません。(汗)
 というのも、SFと呼べる部分は宇宙空間と宇宙船の存在くらいで、他は現代の世界を舞台にしたものとほとんど変わらない描写だからです。SFというより、現代アメリカの暗黒街を捜索しているみたいで、ギャング映画の世界といった方が正しい気がします。
 同じA・チャップマンの前作「宇宙の暗殺者」も、ダンジョンを宇宙船に置き換えただけじゃないか、という印象を受けたのですがこの人、SF書きは向いていないんじゃないでしょうか。「海賊船バンジー号」はすごく面白い世界観だったことを考えるとそんな気がします。
 この内容なら無理にSFにしなくても、現代サスペンスものゲームブックとして改訂すればもっと面白く感じるかもしれません。


山口プリン |HomePage

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