冒険記録日誌
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| 2005年10月05日(水) |
夜の馬(茂木裕子/創元推理文庫) |
第2回ゲームブックコンテストに応募された作品であるもの、「ベルセブルの竜」と共通の世界観という理由で、コンテストとは別枠で発売された経緯をもつ作品です。
「ベルセブルの竜」で見られた独特の魔界の世界をそのままに、ゲームバランスも格段に改良されている良作。巻末には「魔界物語辞典」もついていて、それを読むだけでも魔界ワールドを楽しめます。 今回の主人公は、魔界の住民です。3種族の中から選びますが、戦闘力が高く、五感も鋭いので細かいことを察知できる獣人を選ぶのが一番有利な気がします。獣人は見た目が悪いので交渉関係には不利との設定ですが、町から出ればそんなの関係ないし、同族の獣人相手には逆に仲間扱いされるしで、実際のプレイでは全然問題ありません。 旅の最中にペンダントを拾った主人公は、そのペンダントが人の意思をもっていることを知ります。おそるべき魔物である夜の馬ことサマオーンに魔法をかけられたために、ペンダントになっているのです。主人公はこの男から、サマオーン退治を依頼されてゲームはスタートします。 つまり今回は、オーソドックスな魔物退治のシナリオなのです。それに今回は、お姫様もヒロインもいないので、萌え属性はまずないと思います。(笑) オーソドックスといっても、そこは独自の魔界ワールドを作っているだけあって、絶滅寸前の魔物「ふるいで」達の存在や、冒険に直接関係のないものの、世界観の大きさを感じさせるイベント(黒い髪のアレフのエピソードなど)もあって読者の想像力をかきたてて飽きさせません。夜の馬は日の光に弱いとのことで、日の光を放つ太陽石を探しつつ、夜の馬のすむ荒野を目指して旅を続けます。 魔物退治に使用する太陽石は、強さのランクの違うものが数種類用意されていることもあって最終戦闘の難易度が変わってきます。そのかわり前作よりもクリア可能な選択肢の数は広がっているので、海路を選んだり、森を抜けたりなど、いろんな行程をある程度は気楽に選ぶことができるのが嬉しい限りです。 私は最強の太陽石を入手することができず、黄色の太陽石でサマオーンの姉の方と戦ったのですが、苦戦しつつもきわどく勝つことができました。そのあとも、ヒヤヒヤしながら弟サマオーンに勝ってクリアできた印象が強くて、いまだに10年以上前のその時の冒険の記憶が残っています。
本書のあとがきで、作者は3作目の執筆を宣言していましたし、「魔界物語辞典」も追加版をアドベンチャラーズ・インに連載するようになっていたのですが、ゲームブックブックブーム終了とともにあえなく、消滅してしまいました。新しいゲームブック界をひっぱるシリーズだと、思っていただけに残念でなりません。 本当に茂木裕子さんは、今は何をしているのだろうか。HPの一つはもっていないかと捜索したこともあったのですが、情報なしでした。 なにかの同人誌を販売していた、という書き込みを見たような気もするのですが、謎のまま。もし本当なら是非購入したいものなのですがね。 どなたか情報を知っている方がいれば、ご一報をお願いします。
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