冒険記録日誌
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2005年06月26日(日) ゲームブックの思い出 (ブーム衰退期編)

 ゲームブックブームも終盤に差し掛かる頃、私はファイティングファンタジーはますます難しくなってついて行けなくなったし、双葉文庫は子供向けだから卒業したという気分になっていた。
 残ったのは創元推理文庫のみ。「惑星不時着」「ワルキューレの冒険1」「パンタクル」「ウルフヘッドの誕生」「紅蓮の騎士」「ベルセブルの竜」などを夢中で遊んでいた。私は完全に創元推理文庫限定のゲームブックファンとなっていた。
 遅ればせながら「ソーサリー」はこのころに遊んでいた。1〜3巻までは戦士と魔法使いの両方で4・5回はクリアした。そのくせ「王たちの冠」は2つ目のスローベンドアがどうしても突破できずにクリアできなかった。なんでそんなに詰まっていたのか今では謎だ。(苦笑)
 ところで創元推理文庫のシリーズはどれも長編大作ばかり。
 いったんゲームを始めると時間がかかるため、ちょっと食傷気味になることもあった。気分転換にためには他の出版社のゲームブックも遊ぼうかと本屋で立ち読みして見るのだが、購入する気分までにはいたらず。
 ちなみにこのとき立ち読みした中で購入しようか迷ったゲームブックは「ナイトメアキャッスル」「ブラッドソードシリーズ」「超時空パイレーツ」などなど。今思えば素直に買えばよかったと思う作品ばかりである。購入したのは「ダーティペア」と「魔城の迷宮」くらいか。
 この頃、まだ本屋には沢山のゲームブックが平積みしてあったものの、私の周囲ではゲームブックを遊ぶ人はほとんど皆無になっていた。1人だけエニックス文庫の「ドラゴンクエスト3」を熱烈に遊んでいる奴がいたことが記憶にあるくらいだ。

 やがて私はゲームブックを遊ぶ意欲が少し減少してきていた。特に創元推理文庫の作品が悪くなったというわけではない。理由はわからない。
 当時新刊だった「ネバーランドのカボチャ男」を半ば義務のような気持ちで購入していた自分がいた。(もっともカボチャ男が期待していたネバーランド3でなく、番外編的な存在だったせいもあるかも)
 それから一年が経過する間に、ふと気が付くと、本当にふと気が付くと本屋からはゲームブックのコーナーがなくなっていた。
 新刊の「パンタクル2」の赤い背表紙だけが一冊ポツンと見える本屋の書棚を見たときに初めて、ああ、ゲームブックは消えようとしているんだなという認識と一抹の寂しさを感じた。
 その「パンタクル2」も買ったものの、しばらくは読まずに放置してあった。面白いのはわかっている。でもマッピングをするのが面倒くさい、サイコロを振るのが面倒くさい、と感じてしまったのだ。もっともいざ遊び始めて見ると、そこは鈴木直人作品。オモシロけりゃいーやんけ主義にたがわず面白い。ギャグも冴えまくっているし、魔法システムも凝っているし、迷宮も工夫がこらされていてマッピングも本当に楽しく一気にクリアしてしまった。続編を強く窺わせるエンディングに、せめて「パンタクル3」だけは出て欲しいなと願ったものだ。なぜそう思ったかというと、少し前に第一巻が発売された「眠れる竜ラヴァンスシリーズ」は第二巻の製作情報が入らず、きっと完結しないだろうと薄々気が付いていたから。
 そのうち、本屋から完全にゲームブックが消えた。
 創元推理文庫の最新作「第七の魔法使い」は、本屋に置いてある新刊情報の紙をチェックして本屋に注文して取り寄せた。その本の後書きに編集部からの、ゲームブックブームの衰退を改めて窺わせる文章と、細々とでも創元推理文庫はゲームブックの出版を続けますという宣言文のようなことが書いてあった。
 しかし、そのあとも本屋に置いてある新刊情報の紙を入念にチェックしていたにもかかわらず、ゲームブックが出版されることはなかった。*


続く


* 本当はその2ヶ月後に「ギャランズハート」が発売されていたがなぜか気が付かなかった。思うに新刊情報の紙から「第七の魔法使い」まではあった「ゲームブック」というジャンル表記が消えてしまっていたのではないかと推測している。本屋に入荷しているならともかく、タイトルだけではそれがゲームブックかどうか判別できないからだ。


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