冒険記録日誌
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2005年06月18日(土) バルサスの要塞(スティーブ・ジャクソン/社会思想社)

 この冒険記録日誌でも、ゲームブック魔法使いコンテストや、たけたろうの冒険で何度も話題にしているゲームブックです。
 ストーリーこそ、悪の領主を退治しにいくというオーソドックスなものですが、主人公が魔法使いという特徴が、他のFFシリーズとはまた別の魅力を感じさせます。意外にFFシリーズって魔法使いを主人公にした作品がないのですよね。
 主人公の魔法システムはD&Dタイプというか、冒険前に使用する魔法の種類とストックの数を決めておくシステムです。ソーサリーやパンタクルなど魔法使いを主人公にしたゲームブックに多い、体力点や魔力点を消耗して呪文を唱えるシステムとはタイプがガラリと違います。
 個人的にはキャラの作成時に、魔法を選択する作業が非常に楽しくて一番好きな魔法システムです。他の能力値や予測によって、読者の数だけ個性的な魔法使いが生まれるわけですからね。
 ソーサリーの魔法使いの方は苦手な暗記をしないといけないし、ヘタすれば「こんな魔法は存在しない。体力を5減らせ」とか言われてストレスがたまりました。(苦笑)

 さて、火吹山の魔法使いと比べると、魔法の使用シーンにパラグラフ数を割いているので、結構冒険そのものは短めです。どのルートを通っても、ゲームオーバーにならない限り、すぐに目的地近くまで到着してしまいます。ガンジーやヒドラなどの終盤の強敵には悩まされるでしょうが、どちらの場面も対処できるアイテムが複数用意されていて、このころのFFシリーズは、まだ比較的自由度が高かったなと感じられます。
 極端な例でいえば、バルサスの私室になる鍵の番号を知らなかった場合、浮遊の術で脱出して「運命の森」のようにもう一度最初から繰り返すことだって出来るようになっているし。
 また真の道をたどれば最小限の能力値でもクリア可能なところも嬉しいところですね。本当はどのFFシリーズもそうするべきだったと思うのですが。
 さっき名前の出たガンジーもそうですが、円盤人やミクなど本書にしか登場しない種族も多いのですが、登場する敵は印象的な奴らばかりです。特に悪の親玉のバルサスは格好良い。ボスキャラとしてはFFシリーズ中、一番迫力があるのではないでしょうか。最終戦闘には結構なパラグラフ数が使われていて魔法合戦も楽しめますし、必要な魔法を用意していない場合でも剣で勝つ可能性を残しているのもいい感じです。ゲームブックのラスボス戦としては、ピカ一の出来ですね。
 小説や漫画でもそうですが、悪玉に力と魅力があれば、そのぶん冒険が燃え上がるというものです。ラストの爽快感もひとしおです。
 ところでスティーブ・ジャクソンさん。ソーサリーの大魔王の方は、もうちょっとなんとかならなかったものでしょうか。


山口プリン |HomePage

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