冒険記録日誌
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2005年06月04日(土) 続・悪夢のマンダラ郷奇譚 その1

(これは4月の冒険記録日誌の続きです。ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい。)

 意識がだんだん戻ってくる。気がつくと、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。ここはどこだ。ああ、4月27日の冒険記録日誌の続きなのか。横をみるとやはりゴリラが幸せそうに寝ているのが見える。
 バナナを食べるのを我慢してさっさと巣から抜け出す。すると手ごろな武器になる棍棒を発見した。
 巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。
 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、ワシと答えてみる。
「ワシだと。ワシのトーテムとは我らと同じだぞ。怪しい奴め」
 男達の1人が槍をかまえて、私に向かい合った。他の男達はじっと見守っている。
 私は相手の胴を目掛けて棍棒を薙ぎ払った。都合の良い事に棍棒は相手の槍を弾き飛ばしたではないか。ラッキー。
「むぅ、次に挑戦するものはいないか」
 ワシのトーテムを選んだ場合は、2連戦をこなさないといけないらしい。幸いにも次の男も撃退する事ができた。今日のバイオリズムはなかなか調子がいい。2人目の男が地面に転がると、リーダーらしき男が宣言した。
「これ以上は我々の犠牲が増えるだけだな。ここは負けを認めよう。だが、これ以上南に行って我らの村に近づかないでくれ」
 原住民の男達の願いを聞かずにさらに村に進んでみようする。
「ちょっと、待ってくれ」
 男達が嘆願するが、誰も私の決めたことを留めることは出来ない、と言い放ってニヒルに笑ってみせた。男達は私のそんな態度に感銘を受けたようだ。
「君こそ勇者の資格がある。この剣を持っていきなさい」
 そういって差し出されたのは勇者の剣。この選択肢でも勇者の剣が手に入ってしまった。こうなるとスフィンクスの3問目の答えは、サメ、ワシ、ヘビの3つか。
 とにかく剣と腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。

 道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。腰蓑一丁の身には霧が寒くてこたえる。
 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。
「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい、ちょっとアンタ!アンタってば!」
 無視してとっとと先に進む。チャイナ服を手に入れても役にたちそうもないからだ。
 やがて道が分岐していたので、仙人に会う道を進んでみる。もっと他の質問をしてみたい。
 すると道幅が徐々に狭くなってきて崖にへばりついているような格好になってきた。もはやロッククライミングだ。引き返す選択肢もあったが、少し意地になって先へ進む。
 ああっ、足が滑ってバランスが崩れて、霧の谷へまっさかさまに落ちていった。
 私の意識も深いモヤに包まれる。

 どのくらい気を失っていただろうか。
 気がつくと私は白いフワフワしたものの上に横たわっていた。気絶している間にドテラのような着物を着せられているのに気づく。
「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」
 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。
「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」
 今度は行商のおばさんが言っていた王宮の話しを聞いてみた。
「王宮だと。そんなくだらない物は、マンダラ郷には存在せんわい。お前さん、どこか頭でも打ち付けたのだろう。さあ、帰った帰った」
 仙人の機嫌が悪くなって、追い出されてしまった。行商のおばさんの言った事はまったくのデタラメのようだ。
 山々をくだって草原地帯へ進んでいく。
 前回と同じ道を選ぶと、羊飼いらしき少年がしょんぼりと座っているのが見えた。
 何を悩んでいるんだいと聞くと、もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならないのだという。
「相手は美人で気立てもよくて僕のことを慕ってくれる。でも僕は女が嫌いなんだ。あーあ、惚れ薬でもあったら僕が飲んで簡単に解決するのに」
 なんてワガママな、という気持ちを抑えて持っていた惚れ薬を差し出してみる。
 少年は媚薬を受け取ると礼を言ってそそくさと立ち去ろうとする。
 私はそのまま黙って見送り、少年の忘れ物の皮袋を取り上げた。開いてみると中身は毛皮でできた分厚い服や暖かそうな帽子などだ。
 一旦引き返して、徐々に寒くなっていく道を歩いていく。
 当然のように吹雪が襲ってくるが、毛皮の服のおかげで寒くない。やがて道は海につきあたって途切れた。あたり一面が氷に覆われた白い海だ。
 よく見ると、ところどころ氷が割れていて危険そうだが、ここで引き返しては“寒くても平気な服”を手に入れた意味が無い。きっとこの先に何かがあるはずだ。
 正面と左右に海が広がっている。息を飲んで覚悟を決めると、右の方向を選んで歩いてみた。大丈夫のようだ。そしてまた正面に進んで見る。こんな感じで進んでいくと、運良く氷が割れることもなく、最果ての陸地にたどりついた。陸地に沢山すんでいるラッコとペンギンの子ども達が、拍手をして無事にたどり着いた私を祝福してくれた。
 どうでもいいが、南極のペンギンと北氷洋のラッコがなんで仲良く一緒にいるのだろう。いやいや、ここはマンダラ郷なんだ。常識を捨てなくちゃ。


続く


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