冒険記録日誌
DiaryINDEXpastwill


2005年06月03日(金) ゼルダの伝説 蜃気楼城の戦い(樋口明雄/双葉文庫)

 大魔王ガノンを倒したハイラル地方に平和が戻ったのもつかの間。ガノンの弟の魔将軍ガイアが闇の世界からやってきた!という、TVゲーム版ゼルダに対して外伝的な作品です。
 ゲーム性としては同じ双葉ゲームブックで同じ作者の書いたドラゴンクエストやウルティマに近い印象です。本書は、樋口明雄のまだ2作目のゲームブック作品とあって、穴のある戦闘システムや、あまり脈絡のない地形や、ベタベタの樋口ギャグにまだ切れがない点(笑)など、まだまだ欠点は多いのですが、私は当時原作を遊んでいなかったにもかかわらず、夢中で遊んでいました。
 これは設定と演出の勝利といって良い作品なのです。
 どういうことかと言うと、このシリーズのヒロイン、ゼルダ姫とシリーズ主人公のリンクは、ガイアの呪いによって一身同体の存在になってしまった状態から冒険が始まるからです。日のあたる昼の時間はゼルダが、闇に覆われた夜の時間はリンクが水晶球に吸い込まれてしまうという呪い。
 つまり、昼はリンクとして冒険を進め、夜になると水晶球から復活したゼルダ姫に冒険を託す。朝になると逆にゼルダ姫が・・・・・・と、交互にキャラを操作していくわけです。
 夕焼けや朝もやを見え始めると、冒険を引き継ぐパートナーの無事を祈りながら水晶球に吸い込まれていく。蘇えった方もパートナーが吸い込まれた水晶球を悲しそうに拾い上げる。このあたりのシーンがよく書き込まれています。
 一緒にいるのに決して会うことは出来ないという切ない2人の関係が、悲劇的で印象に残るのですね。
 原作ではあまり見ることの少ないゼルダ姫のアクションシーンも見られるし、ゼルダシリーズのファンなら、ゲームブックファンでなくとも是非ともチェックしてもらいたい作品です。


山口プリン |HomePage

My追加