冒険記録日誌
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2005年03月27日(日) ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その5

(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)

 オーガスタスの計略にはまったパーティは危機に陥っていた。
 ここは上空千メートルに浮いている絨毯の上なのだ。逃げ場はない。例えオーガスタスを殺しても地上に降りる方法がわからないのだ。
 しかし、このままオーガスタスの城にいくのは奴の思う壺ではないか。
 さしものバーガンにも名案が浮かばなかった。ここは城についてからチェンスを見つけるしかないだろう・・・。
「城に行きたければ行ってみろ」
 ふいにモリスが立ち上がって、剣を抜いた。
「この剣で絨毯を切り裂いて、貴様を地上に叩きつけることもできるんだぞ」
「ばかな、そんなことをすればおまえ達も同じ運命なんだぞ」
 オーガスタスは受け流したが、一瞬の不安げな表情を見せる。
「どのみち人間はいつか死ぬものだ」
 モリスは平然と言い放ち、剣を絨毯の中央に突き刺す。
 剣はあっさりと絨毯を貫いた。そのまま剣を薙ぎ払おうとする。オーガスタスが絶叫する。
「やめろ!約束どおり、お前達をワイアード王国へ連れて行ってやろう」
 モリスは満足げにうなった。はんっ、魔術師なんて臆病者ぞろいだ。
 勘の鋭いリー・チェンがこちらに顔をあげたので、モリスはあわててオーガスタスに声をかけた。
「さあ、ワイアードの海岸付近まで飛ばしてくれ!この剣がお前を狙っているのを忘れるなよ」

 こうしてパーティは無事にワイアードに到着した。オーガスタスは役目が終わると早々に飛び立ってはるか水平線の向こうに消えた。
 そろそろ日が沈もうとしている。ただでさえ凍りつくような気温がさらに冷え込んできた。
 今夜を過ごす寝床を捜す必要がある。パーティは毛皮のマントをかき寄せるようにして、むっつりと歩き始めた。
 歩きながらオリバーは昔読んだ書物の記憶を頼りに、ワイアード王国の歴史を思い返していた。

──ワイアード王国は人口1.2万人の小さな王国。大半はとても貧しい農民で凍った大地を耕す厳しい生活を送っている。最後の戦乱は旧センチーヌ帝国の崩壊までさかのぼる。そして現在のワイアード王の支配はなんと6世紀にも及ぶ。彼は夢を自在に操る力を持ち、反逆や逃亡を企てる人間を眠っている間に殺すこともできるという・・・。

「村があるぞ!」
 モリスが聖アシャナクスの十字架をかざしながら叫び、オリバーの思考は中断した。先の方に明かりの灯った民家が見える。
 民家で一晩の宿を頼むと、ワイアードの農民達はよそよそしい態度ではあったが、中に入れてくれたうえ、粥を与えてくれた。
 家の中には家族達と痩せた牛や豚が一緒に入っていた。厳しい冬の間は、人間と身を寄せ合って暮らすのだろう。
 そしてこの家には、火傷を負って死の迎えが近づいている赤ん坊がいた。オリバーが母親からそっと赤ん坊を取り上げると、火傷の傷に手をあてる。赤ん坊の肌は瞬く間に、健康なピンク色に戻った。しばらくすると赤ん坊は元気に泣き出した。
 農民達の歓声があがる。母親は涙を流しながら、オリバーに心づくしの牛乳を振る舞った。
 パーティは家の人々と歓談した。その中には予言者のウルバという不思議な少女がいた。ワイアード王の贈る悪夢から防いでくれるという。そのおかげなのかその晩、パーティは安眠することができた。

 翌朝になり、パーティはウルバから鉄の鈴をもらった。
「新旧の交代の為に鳴らすのよ!」
 ウルバは高らかに宣言するように言った。よくわからないが、受け取っておく。
 ワイアード王の城は、ソーンズの森の向こうらしい。ウルバに世話になった礼を述べると森の中に入る事にした。

続く


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 オーガスタス。あっさり撤退したのでまた登場するかな。と思っていたのですが、二度と登場しませんでした。いろいろ豪語した割に、なんとも中途半端な奴だ。
 ウルバもこれっきりのキャラですが、謎めいていて妙な存在感があります。
 出番の少ないキャラでも、こいつはどんな人生を過ごしていたのだろう?こいつはこの後どうなったのだ?と気にさせるくらい、キャラクターの厚みを感じさせてくれますね。 


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