冒険記録日誌
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| 2005年03月26日(土) |
ブラッドソード2 魔術王をたおせ!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その4 |
(ネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
城の外で老騎士ヴァラダクソールと別れる。老騎士は感謝のしるしに銀の十字架をくれた。 「この十字架の中には聖アシャナクスの指が入っている。持っていくがいい。全ての聖人がそちらの旅を見守ってくれることだろう」 受け取ると老騎士は満足げに微笑み、馬に乗って去って行った。
パーティ一行は東に向かい、カノングの港についた。 ここはかなり北の地方で、寒さがじわじわと効いてくる。 さっそく宿屋に入ると、タバコの充満する室内は船員達で混雑していた。ちょっと目を凝らすと、商人達と旅の僧の一団が目を引いた。 僧達に話し掛けると「まあ、お座りなさい」と僧の一人が言ってくれる。 ・・・沈黙が流れた。彼らのペットのカラスがカァと鳴いた。 ワイアード王国について教えて欲しいと尋ねる。 ・・・沈黙が流れた。彼らのペットのカラスがテーブルの上を歩きはじめる。 僧侶の一人がワイアード王国が北東の方角にあることを教えてくれた。 もう一人の僧侶がワイアード王国に向かう船がないことを教えてくれた。 もう一人の僧侶がワイアード王国へは流氷を伝って歩く必要がある事を教えてくれた。 もう一人の僧侶がため息をついた。 ・・・沈黙が流れた。 なんとなく、居たたまれなくなって席を立つ。すると僧がコツコツ歩くカラスを見つめながら言った。 「私たちの老いぼれカラスを買いませんか。金貨一枚で結構ですから」 リー・チェンが買い取ってカラスを肩にのせた。スクリーボという名前だそうだ。 続いて商人達に話しかけ、火鉢や毛皮のマントを買い込む。流氷の上を歩くならこれくらいの準備は必要だろう。 宿の主人に宿金を前払いすると、まだ日も明るいので、町を散策する事にした。
捕鯨船の船員に途中まで船に乗せてもらうと交渉もしたが、折り合わずにさらに町をふらつく。すると、紫のマントを羽織った男が近づいてきて、魔法使いオーガスタスだと名乗った。そしてワイアード王国へ行く手助けをしてくれると申し出る。 露天で買った茶を啜りながら話しを聞く。いったい、どうやって手助けしてくれるのだと聞くと、オーガスタスはにっこり笑った。目が輝いている。 オーガスタスが魔法の言葉を唱えると、足元の絨毯が宙に舞いあがった。空飛ぶ絨毯だ! 「さあ、しっかりつかまりたまえ。まだ客を落としたことはないのが自慢なんだ」 驚く水夫達を尻目に、絨毯はパ−ティとオーガスタスを乗せて空高く舞い上がった。そしてすごい勢いでカノングの港から離れていく。 毛皮のマントで身をかばいながら、必死で絨毯にしがみつく。だが高度千メートルにもなると、初めての空の旅に興奮してきた。捕鯨船が小さなシミみたいに見える。巨大な流氷の浮かぶ青い海を見て目を見張った。 「本来なら数日はかかる旅だが、この絨毯ならワイアード王国なんてひとっとびだ」 オーガスタスは誇らしげだ。しかし、さすがに寒い。骨の髄まで冷え切ってしまう。 絨毯はしばらく順調に飛びつづけた。ところがオーガスタスが何事か呟くと、絨毯は進路を変更して飛びつづけた。急な方向転換に抗議する。 「静かにしてもらおうか。この絨毯は私の城へ向かっている」 さっきとは別人のような横柄さでオーガスタスは言った。 「私は真のマグスに使える神官だ。私の城についたらあるものを渡してもらおう」 突然、絨毯が揺れたのでしがみつく。わざと揺らしたに違いない。オーガスタスがあざ笑う。 「泣いても脅しても無駄だぞ。ここは高度千メートルの上空だということを忘れるな」 続く
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不気味な灰色のレディだの、空飛ぶ絨毯だの、ブラッドソードシリーズは面白い脇道や意表をつく展開が多くて、読み物としてだけでも十分に楽しめる出来です。 もちろんゲーム性としても一級品の出来だし、捕鯨船に乗ればまた別の展開が待っているという、繰り返しプレイも楽しめる点もいい。 とっつきの悪ささえ乗り越えれば、最近ではマイベスト1のゲームブックといってもいいくらいですよ。
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