冒険記録日誌
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2005年02月28日(月) シャーロックゲームズ─死を呼ぶ音楽─(奥谷道草/白夜書房)

 2001年3月号のクロースワードランドに掲載されたはみ出しゲーム、シャーロックゲームズ編です。
 知らない人に説明するとシャーロックゲームズとは、名探偵シャーロックゲームズとして、事件を解決すべく活躍する推理ゲームブックとなっています。以前は3ヶ月に1回の割合で、このゲームズ編が掲載されていました。
 ゲームズはゲームの舞台のマップを見ながら、その場所に対応するパラグラフに進んでは情報を収集するのがゲームの基本。
 よくあるパラグラフ総当りで進行していると、ゲーム中の登場人物が推理して勝手に事件が解決してしまうようなゲームブックとは違って、読者が自力で推理しないと永遠に解決しません。みかけによらず本格派なのです。
 最近のクロスワードランドはこのゲームズの掲載がなくなって、少々寂しいですね。
 
 さて、本題に入りましょう。
 この事件は真新しい音楽ホールで、コンテストの練習中に優勝候補の一人がステージの傍の準備室の中で銃撃されて殺されるという事件が発生したのです。音楽ホールは緊急封鎖され、名探偵ゲームズが登場するというところからスタートします。
 容疑者は同じように練習をしていたコンテストの出場予定者達。
 彼らの大半は、殺人の時間は控え室やらにいたために、狭い空間にもかかわらず捜索しても聞き込みしても目撃者がいません。
 数少ない証言は、ゲームズに依頼した山田氏が客席にいて、銃撃がしたとき、ステージに降りていた幕の中央付近で女性の悲鳴があがったこと。
 そして、そのステージにいた2人の響姉妹の証言「顔は見えなかったが、男が走り去っていった」ということくらいです。
 さらに調べると、コーヒーに睡眠薬が混入されていたことと、事件の前後に音楽ホールを出入りした人間は、いなかったことが判明します。それから容疑者の中には怪しい言動をする人間もいますが、いずれも決定的な証拠がありません。
 怪しいのは、響姉妹の証言に登場する男が見つからないこと。響姉妹が犯人で嘘をついているという可能性もあるが、今のところ「銃撃がしたときステージ中央から女性の悲鳴があがった」という山田氏の証言が、響姉妹のアリバイになっています。被害者はステージ端の準備室で殺されていましたから。
 うーむ。
 なにかのトリックがこの殺人事件には、仕掛けられている気がします。
 もう一度調べると壊れたラジオという、場違いなものが意味ありげに転がっていました。いかにも「ヒントですよー」といいたげです。

 うーむ。

 ・・・。

 降参。


 答えを見ると、うわっ、そんなトリックがあるの?!という内容でした。
 動機や犯人の目星はかなり序盤から出来ていたので、惜しいと言えば惜しいですが、トリックを見破るほどの発想が出来なかったので探偵失格です。
 犯人を追い詰めるには、たった一つのトリックに気がつくかどうかにかかっている。この作品はそれが全てという感じでした。


山口プリン |HomePage

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