冒険記録日誌
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2005年02月15日(火) プロ野球?殺人事件!30番のドタバタ逃亡レース(勝沼紳一/双葉文庫)

 人気スポーツコメンテイターが、偽札事件&殺人事件の探偵として活躍するというゲームブックです。
 認可をとらなかったらしく、作品中の名前が井川になっていますが、どう考えても、主人公はあの元巨人軍の江川卓です。(そんなわけで日記では主人公のことを江川と書きます)
 それにしても、なぜ江川卓を主人公にして探偵ものなんでしょうか。謎です。

 ともかくプロローグは江川邸の中からスタートです。江川は予定のつまったスケジュール帳をめくりながら、うれっこコメンテイターぶりをぼやいています。しかし何気に自慢になっているという、現実の江川さながらの嫌らしさを発揮していますね。
 そこに家に訪ねてきたのはガイアンツの主砲、タツ(原辰徳のことだね)。彼がもちこんだ謎のトランクから大量の偽札を発見した江川。そこにタイミング良く家に踏み込んできた警察。江川も落ち着けばいいものを慌てて逃げ出してしまい、哀れ警察に追われる身になってしまうのでした。

 かくして江川は、警察につかまらないように身を潜めながら、身の潔白を証明するために情報を知っているプロ野球関係者達の間を、かけまわるのがゲーム本編です。
 この作品の特徴としては、主人公の心理描写が非常によく書かれているのが特徴でしょうか。
 警察から走って逃げるシーンでは「選手時代は適当に手を抜いていたから体力がもたないぜ」とか、聞き込みをしては「やはり、あ・の・ガイアンツの元エースという肩書きが効いたな」とか、追い詰められては「落ち着け、あの空白の1日事件では記者団に対して“みなさん、そう興奮しないで”といった俺じゃないか」とか、江川はいつも身も蓋も無いことばかり考えているようです。
 エイズ患者の話題がでれば「うつったりしませんよね」と顰蹙もののセリフを言うし、情報収集のため女装してオカマバーに潜入するとか、怪しすぎるぞ、あんた。警察に見つかると追いかけっこがはじまって、警棒をビュンビュン投げつけられて体力が減ってしまうし、エンディングではなぜかガイアンツに現役復帰して投げているし、変だよ変。
 面白いんだけど、推理ゲームとしては全然印象に残らない内容だ。(^^;
 
 後書きの作者のコメントを読むと、作者は大洋ファンのアンチ巨人だそうで、あーなるほど。と納得してしまいました。
 しかしネットで検索してみると、原作となるファミコンゲームがちゃんとあるようで、しかも紹介してあったサイトを調べた限りでは、こちらもゲームブック版に負けず劣らず毒をたっぷり含む内容のようです。
 うーむ。こんなのが発売されていたとは、ゲームブックもファミコンもバブリーな時代だったんだなぁ。


山口プリン |HomePage

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