冒険記録日誌
DiaryINDEX|past|will
| 2005年02月12日(土) |
真夜中の盗賊(G・ディヴィス/社会思想社) |
FFシリーズ第29巻。 本書は一般的なFFシリーズとは違って、主人公が戦士ではなく盗賊です。そして冒険の舞台は、あのリビングストンの作品「盗賊都市」に登場した港町、ポートブラックサンドなのです。私は「盗賊都市」はあまりやりこんでいないのですが、それでも懐かしいですね。選択肢によっては、善の魔法使いニコデマスもちょっぴり登場して、「運命の森」で主人公をカエルにしていたヤズトロモに対抗したのか、主人公をイモリに変えてくれるというファンサービス?をしてくれていますよ。 冒険の目的は盗賊ギルドが、主人公にギルド加入の試験として“バジリスクの瞳”を盗み出すという任務を課すというもの。 ネタバレ防止の為に多くは書けませんが、実際に冒険をしてみると登場する怪物や用意されたトラップなどは凶悪で非常に危険な任務だと言えます。まあ、盗賊なんて掃いて捨てるほどいる危険なポートブラックサンドなら、盗賊ギルドはそのくらいの加入試験が必要なほどエリート中のエリート達で組織しないと成り立たないのだろうなと想像できますね。さすがに勝手知ったる自分の町だけ合って「盗賊都市」の主人公のように、道を歩いているだけで矢を射掛けられたりするようなヘマなシーンはありませんでした。
本作品の特殊ルールとして、盗賊の技能というのがあります。すり、錠破り、壁登り、忍び足、姿隠し、罠感知、秘密の印の目利き、の中から3つを選んで冒険を始めるのです。不足している技能も“鍵束”などのアイテムを入手することで、ある程度は補足できるようになっています。 私の初プレイは、技術点12、体力点17、運点7で特殊技能は、忍び足、姿隠し、罠感知を選択しましたが、なんとこれで一発クリア。終盤の戦闘で、最後は息もたえだえといった風でしたが、やっぱり技術点12は強かった。 しかし技術点9くらいでもカンが良ければ一発クリアできそうな感じでした。 危険な罠や敵はあっても、いじわるな仕掛け(ノーヒントで後でクリア不能になる分岐など)はなく、強敵もアイテムや特殊能力で避けられるケースも多いので、他のFFシリーズほどには、高い技術点や死んで覚えるプレイは必要ないようです。
ゲームが始まると、主人公は“バジリスクの瞳”の在りかを捜すために、酒場や乞食達に情報を求めたり、商人の屋敷に忍び込んだりします。家人の寝ている寝室をそっと物色したり、金庫の鍵を開けようと捜索するのは、なかなか緊張感があってワクワクします。いくらポートブラックサンドとはいえ、衛兵も巡回する町の中ですから、野外の冒険のように、見つかったら戦闘で勝てば良いというわけではないからです。 冒険は途中から、“バジリスクの瞳”が隠されたダンションを探検することになります。このあたりはいつものFFシリーズのような雰囲気になっていて、正直やや拍子抜けしました。最後まで街中を舞台にすれば良かったのに。しかもダンションはほぼ一本道なので簡単ではありますが、繰り返しプレイには不向きです。
ケチをつけてしまいましたが、総じてこの作品は非常にプレイが楽な作りになって好感がもてます。 例えばある選択肢を選ぶ時、「井戸の中を降りるなら、壁登りの特殊能力があったら××へ、なかったら××へ」という風に、先に能力の有無を尋ねてくれるところが親切です。井戸を降りるを選んだ後で「ところで君は壁登りの技能を持っているか?もっていなければ手が滑って君は一気に落下してしまう××へ」などと後で尋ねられるのは、判断がつきにくくて非常に困りますからね。細かいところですが、こんな部分がゲームの快適さを決める要素だと思います。 盗賊らしく、隠し通路を発見したり、機転や技能を要求される要素が多いので、この冒険独特の雰囲気をうまく表現できていることは確かです。盗賊を主人公にしたゲームブックとしては、富士見の「クォーラス城からの脱出」と並ぶ名作だと思います。
*オリジナルルールの提案* すり、錠破り、壁登り、忍び足、姿隠し、罠感知、秘密の印の目利き、を全て使えるようにしてみるのはどうでしょうか。 その代わり技術点と同じく、各技能毎に6+サイコロ1個で数値を決めておきます。冒険中に能力が必要なシーンになったら、サイコロを2個振って出た目が能力値と同じかそれ以下なら、「その技能を持っている」選択肢へ、能力値より多かったら「その技能を持っていない」選択肢へ進むのです。(合鍵やマントなどのアイテムを持っている場合は、サイコロにマイナス2点の修正を加える) このルールだと個性的な盗賊が出来上がると思うのですが・・・どなたか試してみません?
|