冒険記録日誌
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| 2005年02月03日(木) |
かいだん(奥谷道草/白夜書房) |
パズル雑誌クロスワードランドの2004年11月号に載っているはみ出しゲームです。 どこともしれぬ場所で開かずの扉を開こうとする少年が、階段と踊り場ばかりで作られた立体的な迷路を彷徨う話しです。怪談とひっかけたタイトルのとおり、暗く重々しい雰囲気が漂います。びしょぬれの傘や、古びた機械仕掛けの人形(大阪の食い倒れ人形の姿しか連想できない想像力貧困な私・・・)など、所々に意味ありげに配置された品々が不気味です。 最初は「うわっ、立体迷路だよ。地図を書くのがつらそうだな」と思ってしまったのですが、やって見るとサクサクと快適にマッピングができました。階段の横板に隠しメッセージがあって、階段を登っているときにしか気づかないという仕掛けは、謎解きとしては簡単でしたがアイデアですね。 今回、もっとも秀逸だったし、同時に惜しいと思ったのは、エンディングです。冒険中に見たものと全ての記憶がつながって、余韻の残るなんともいえぬ怖さを作り出していました。今までのはみ出しゲームの中で1番印象的です。そして惜しいと思ったのは、オープニングに夏休みの宿題をしなきゃという、日常的な動機からスタートしていたのに、エンディングでは少年が外国航路の船旅の最中だったというあまり庶民的でない設定だったため、現実感が薄れてしまったこと。近所の廃ビルの非常階段で遊んでいて・・・とかの方が、より身近な恐怖感を読者に与えられたような気がします。ただ今回のエンディングに漂っていた、ある種の美しさは減滅するかもしれないので、この辺は好き好きかな。 いずれにせよ、最初から最後までグイグイと読者をこの世界に引き込むだけの魅力はあった作品でした。
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