冒険記録日誌
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| 2005年02月01日(火) |
地底階層王国 〜まぼろばの壁をこえて〜(高野富士雄原作/ポニーキャニオン) |
双葉の人気(?)ゲームブックシリーズの地底階層王国の世界を、普通の音楽用CDへゲームブック風に収録したドラマCD。 ゲームブック風というのはドラマがトラック毎にバラバラに分岐していて、まるでゲームブックのような構造になっているからです。 「…入ってきたのは魔族だった。逃げるならトラック番号27へ、戦うならトラック番号8へ進んでください」というメッセージが出ると、サーチボタンを操作して行き先のトラック番号に進むという流れになっています。家でアニメ声のドラマを聞くのも気恥ずかしいので、ためしに車の運転中に聞いてみました。(サーチボタンを押しながら聞くので、運転中は危ないから良い子は真似しちゃだめだよ) ストーリーは魔族に人間が支配されている広大な地底世界が舞台で、魔族に抵抗する反乱軍のエースパイロット、ルーイが主人公。敵の攻撃で飛行機を打ち落とされたあと、少女のチェルトと魔族のゼロが彼の命を助けるところから話しは始まります。しばらく3人で旅をしますが、そのあとはいろいろあって、魔族の王ルシファーの后にされそうになるチェルトを、ルーイとゼロが救い出しにいくという展開。それに誇り高い義賊の海賊王ドレイクも絡んできて・・・なんというか一昔前の週間少年ジャンプにある王道ものみたいな話しでした。 総パラグラフ数は33で選択肢は二択のものばかり。片方が即バッドエンドになるものか、どちらでも同じ結果になるかのものばかりで完全に一本道のお話しです。ゲームとしてはかなり単純化されています。ドラマCDとしてみれば、声優さんの演技といい、ベタだけど燃えるストーリーといい、爽やかなエンディングといい、良作と思いますけどね。 ただゲームブックとのタイアップというのは、今の感覚では購買ターゲットの狭そうな商品です。それだけ当時の双葉ゲームブックに勢いがあったのか、はたまたバブル時代が生み出した産物だったのか。いずれにせよ、今となっては珍品扱いしかされそうにないのが、悲しいところです。
一応原作ゲームブックとの比較もしてみましょう。私は原作の第一巻しか持っていませんが、ストーリーはたぶんCD版オリジナルのものです。原作のルーイは抵抗軍でなく、国家と国家の戦争に参加する一兵士という立場。他にもチェルトの姿も原作のイラストでは黒髪のお嬢様風、CD版のパッケージイラストでは田舎の金髪少女風、などと設定がいろいろ違います。でも一番の違いは3人目の仲間、猫耳の少年の姿をした「魔族のゼロ」の存在。原作ではゼロではなく、猫の着ぐるみみたいな姿をした「ねこまんまのポチ」というキャラが仲間になるのですが、この違いが大きいのです。ポチはやる気なしの食い気ばかりのふざけた性格なのですが、高野作品には頻繁に登場する、ある意味象徴的なキャラクターだったので、これが真面目な性格のゼロというキャラになったことで、冒険中の雰囲気がガラリと変わってしまった気がしますね。 ただ、CD版のトラック27番のチェルトの家のシーンで、BGMになにげなく流れているラジオ放送をよーく聞いてみると、なんとラジオのパーソナリティとしてポチが登場していることが判明しました。なんと喋っているのか音量を大きくしてさらによーく聞いてみると・・・。
「ニャース!こんにちは、お昼の時間はねこまんまのポチがお贈りするにゃ。今日の話題は(ルーイたちの会話でよく聞き取れず)です。かたい話題ですね。さて(ルーイたちの会話でよく聞き取れず)産業廃棄物で汚染されたキャットフード!(ルーイたちの会話でよく聞き取れず)のです!・・・今日の最初の一曲。セカンドラブ・・・(慌てて口を塞ぐ音)は言ってはいけなかった。中森・・・(慌てて口を塞ぐ音)も言ってはいけない・・・。最近のアイドル曲は一曲もかけられないのです。ああ、困った。どうしよう・・・」
これよ、これこれっ。この微妙な楽屋ネタ。これこそ双葉のゲームブックよ。と思うのは私だけでしょうか。
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