冒険記録日誌
DiaryINDEXpastwill


2004年07月03日(土) ウルティマ(樋口明雄/双葉文庫)

 主人公は東京で暮らす普通の大学生ですが、「冒険好きの少年、求む。時給600円。残業手当ナシ。勇気と熱意のある者にかぎる」という広告に釣られて、ゲーム製作会社にバイトに行きました。
 すると、中世の騎士の格好に着替えさせられ、巨大な乾燥機みたいな機械に押し込められ・・・・・・気がついたらソーサリアという国の王様の前で、「エクソダス」という悪の化身を退治するよう命じられます。王様の傍には、これから仲間となって冒険を共にする美少女の僧侶、身軽そうな若者の盗賊、年老いた魔法使いの姿がありました。<プロローグより要約>


 いやはや、双葉ゲームブックのスタンダードと申しましょうか。強引なプロローグですね。
 本書は同名ファミコンゲームをゲームブック化した作品ですが、双方向システムで町で買い物と情報収集を行い、あちこちを旅しながら戦闘と探索を繰り返すゲーム性など、同じ双葉ゲームブックで同じ著者の「ドラゴンクエスト」に似た内容となっています。
 私は原作ゲームそのものはよく知らないのですが、RPGの元祖といわれるゲームだけに、やはり原作の方もドラゴンクエストに近い内容でしょう。ゲームブックが似ているのも、当然といえば当然かな。

 自分が遊んだのはもう十数年前ですが、かなり楽しんだ憶えがあります。今思うと、ゲームバランスの方も「ドラゴンクエスト」より改善されていたようだったし。
 所持金が足りないので、わざと道具屋を襲って何度も警備員と戦ったりとか(警備員は普通の魔物より所持金が多かった)、居酒屋にいくとヒットポイントが減るのはなんでだよと思ったりとか、懐かしいなぁ。
 もちろん樋口明雄ゲームブックのベタベタギャクは健在です。
 「あんだってぇ?」と繰り返し「サマンサ婆さんですか」と尋ねると「とんでもない、あたしゃサマンサ婆さんだよ」と答える預言者の老婆とか。「ウルティマというのはお前達か」と言う怪物に「それはゲームの名前だ!」とつっこむ勇者達とか。ノコギリとトンカチと電気ドリルで毒の治療をするお医者様とか。驚かすと「どしぇーーー!」と玉座から跳ね上がって壁をぶち抜いてのぞける王様とか。いやぁ、最高ですね。

 当時の自分はTVゲームの代用品くらいに考えていたと思うのですが、今パラパラと読み返して見ても面白いです。
 ギャグのセンスが合わない人にはお勧めしませんが、中身は手堅く作られていて普通のゲームブックとしても良作の部類だと思います。
 うーん、ちょっと甘すぎるコメントだったかな。なんだか最近の私は、すっかり樋口明雄ファンになってしまったようです。


山口プリン |HomePage

My追加