冒険記録日誌
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| 2004年06月09日(水) |
角笛城の反乱(ケビン・バレット&ソール・ピーターズ/ボビージャパン) その2 |
(ネタバレ注意!プレイ予定の人は読まないで下さい)
「嵐が来るな」 私はそう言って、角笛城の城壁から夜明けの地平線に集まる雲を見つめた。 その言葉は自分自身に向けたものだったが、傍にいた歩哨隊の隊長にまで聞こえたようだ。 「うむ。嵐か。雷鳴は行軍の足音、稲妻は輝く剣、雨は矢じゃな」 そう答えてから隊長は、さらに付け加えた。 「すぐにでも戦は始まるのじゃなかろうか。今すぐにでもな」 遠い昔、栄光に満ちたゴンドール時代に建てられた角笛城の城壁から、私はひっそりと静まる峡谷を見つめた。 隊長を監視所に残し、私は外城壁をゆっくりと歩き始めた。隊長の言葉を考えながら。もちろんまだ薄暗がりの中、目と耳には神経を集中させて見張りの任務は怠らない。
今日は異常なしか。
そう判断して、監視所に帰ろうとしたとき、かすかに押し殺したような声が聞こえた。それも城壁のすぐ下だ! あわてて私は声のする方へ駆け出し、たいまつを片手に城壁から身を乗り出して、目を走らせた。 いた。城壁の下の茂みに曇り族らしき男と、ローハンの騎士らしき人物が見える。・・・あれはヘルルフだ! 私は自分の目が信じられなかった。ヘルルフといえば、オークを相手に勇敢に戦った功で信頼されていた指揮官ではないか。 私は思わず驚愕のうめき声をあげてから、目を凝らしてみる。 彼は曇り族らしき男に羊皮紙を渡していた。もし本当にあれが曇り族なら間違いない裏切り行為だ・・・。
2人はパッとこちらを見つめた。ヘルルフの怒りの表情と、見知らぬ男のおびえた様子まで見て取れる。 しまった!とっさに松明を地に落として明かりを消す。すぐにもう一度見渡したがもう2人の姿は消えていた。 私の頭は混乱していた。どういうことだ?ヘルルフは裏切り者なのか。いや、もしかすると、あの曇り族こそ仲間を裏切ってこちらに情報を明かしていたのかもしれない・・・。 ヘルルフを探し出して問い詰めるべきか、任務を続行して後で隊長に報告すべきか迷った。 そんな一瞬の躊躇の後、私は決断をくだすと峡谷を降りるために、急いで城壁を走り始めた。 追いかけて、あの曇り族の男を捕まえるのだ!
続く
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