冒険記録日誌
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| 2004年04月26日(月) |
恐怖のSF学園 異次元間エレベーターの謎(高槻速雄/西東社) |
つっこまれるために存在しているのかと疑問に思ってしまうゲームブック。 タイトルから凄い。
恐怖のSF学園 異次元間エレベーターの謎
たしかに謎のタイトルだ。SF学園という強烈なネーミングセンスに恐怖すら感じてしまうのは私だけだろうか。 とりあえず読んでみた。 まず謎の物体が宇宙空間をさ迷っているところから物語は始まる。 それは、かつて強大な力を誇り謎の原因で消滅した、ある宇宙人の遺産なのだ。 その物体は意思をもっており、自らとコンマ1も違わない形状をした建設物を求めて、広い宇宙を何十万年もさ迷っていた。 そして見つかったのだ。求めていた建設物が。その物体“異次元間エレベーター ビヒモス”はゆっくりと地球に進路を変えていった・・・。
なかなか渋い設定ではないですか。 異次元間エレベーター”がまるで幽霊のように乗り移ってしまう地球の建設物というのが、学校のクラブハウスというのがまた凄い。宇宙人の遺産は四角い窓や、テラス、階段や非常ベルも完備していた形状だったらしい。
さて、そんな前ふりの後から物語はスタートします。 主人公はテニス部所属のごく普通の学生なわけだが、クラブ活動の最中に学友から「ちょっとこいよ」と声をかけられます。これについて行くか否かが最初の選択肢ですが、いきなりここで物語が大きく変化してしまいます。 内容は大きく分けて、中世の騎士団がいきなり現れて、「ホーリーゴースト!」と叫んで主人公を神様扱い。異教徒との戦いに巻き込まれてしまう「おっさん騎士団編」。主人公達にそっくりなクローン人間達が入れ替わろうとする「クローン学園編」の2つ。(どっちも勝手に命名) 面白いのは、おっさん騎士団編。主人公が与えたピッチングマシーンに驚愕する騎士団の皆さん。火薬を詰めた球を敵に飛ばして、敵に当たるたびに、教えられたとおり「ストライーーーーーク!」と合唱する姿が笑える。 クローン学園編も、銃を撃ってクローンとはいえ学友を黒焦げにする主人公や、火炎放射器を発射する消防隊の登場など、おいおいおいおいっと突っ込みたくなるシーンが目白押し。 どの冒険にせよ一応クリアをすると、主人公が“サイコガン”とか“騎士団のくれた王冠”とか所有しているアイテムによって後日談が変化します。“ノーベル賞を毎年もらうようになる”“オリンピックで全種目の金メダルをとる”から、“世界中のスパイに狙われるようになった”“16ビットのパソコンを買った”まで結果はいろいろ。 いやいや、なかなか楽しませてくれました。ゲーム性とかストーリーとか、ユーモアとかなんとか気にしている人には耐えられない出来でしょうが、B級作品ファンの人にはお勧めですよ。
ゲームブックブーム衰退の理由が粗製濫造とはよく言われますが、私はそれを否定しています。映画界にもB級映画とそのファンが存在するように、ゲームブックブームとその時発生した有象無象のB級作品たちも、別の視点で見れば結構愛せるのですよ。そんなわけで創土社さんからは無理でしょうが、他の出版社の方からでもジャンジャンゲームブックを出してもらえる時代がくればいいですねぇ。
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