冒険記録日誌
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| 2004年04月17日(土) |
縄文伝説(小林秀敏/光文社) |
「縄文伝説」は創土社の酒井さんが、剣社通信で自分の思い出のゲームブックとして、名前をあげていた本ですね。 この本は確か「マーリンの呼び声」の管理人セプタングエースさんも、勧めていたなぁ。自分が所有する唯一の和製ゲームブックだって。(まだ創土社のゲームブックが出ていないころの話し) ゲームブック界の重鎮2人が話題にあげるくらいだから、当然興味が湧いてきます。 実は以前にも読もうとしていたのですが、パラパラと読んだ印象では、漫画チックな挿絵と縄文時代のマメ知識をゲーム中に試されるという趣向に、まるで小学生向け学習本のようだと、今まであまり本格的に読む気にならなかったのです。
ところがこれ。真面目に読んで見るとこれがなかなか面白かったですよ。 当然ながら舞台は縄文時代。巫女の神託によって、大賢者を探す旅に出るというストーリーで、故郷の村から3人が旅立ちます。 3人とは、族長のオズと村一番の勇者ラキ、そして好奇心旺盛なまだ少年のあなた(主人公)です。 大賢者の情報を求めるためいろいろな村をめぐる3人(途中から仲間と別れて1人になりますが)、特に主人公は村人から土器や塩作りの技術を教わったり、祭事や呪術の知識を得たり、狩のコツを知ることができたりと、縄文時代に生きる為のいろいろな知識や技能を憶えていきます。 この知識はその後のゲームの展開に大きく関わるほか、読者自身も縄文時代の生活様式を知る事ができるので、なんだかニ重に得した気分になります。 そして、面白いのが村人との物々交換。貨幣が存在しない縄文時代らしく、情報やものを得る為に、首飾りや石斧などを代わりに差し出す必要があるのです。 最初はあまりそのことを気にせずにプレイしていたので、ほとんどの所持品を失ってしまい、他所の村々からまるで乞食同然の扱いを受けて、行き倒れのような終わり方をしてしまいました。 村々ごとに特産品があり、また村人が欲しがるものが違うので、2回目以降のプレイでは、まるで商人のようにいろいろな物をぶら下げて旅をしていました。“所持品が多い=金持ち”みたいなもんです。 ヒスイのような貴重品が手に入ると嬉しいし、川を渡る時に所持品が多すぎて品物が流されてしまったときは悔しい思いをしました。物がないと本当に旅の先々が不安になってきます。
3度目のプレイで最後までクリア。主人公は大賢者と一緒に手柄話を携えて、故郷の村に帰ってきました。 最後に所持していた品物と、旅先で憶えた知識の量、それから自分を守ってくれる守護神の数や、これまでの経験した出来事によって冒険の評価がされます。 私の場合は67点。 主人公はその後、村の狩や道具作りのリーダー的存在になったそうです。村の族長になるまであと一歩でした。ちょっと悔しい。
それにしても縄文時代の特徴を、無理なくゲームとして利用しているシステムは素晴らしい。もしかすると、これは本当に隠れた名作かもしれません。 皆さんも入手できる機会があれば逃さず一読してみて下さい。
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