冒険記録日誌
DiaryINDEX|past|will
| 2004年04月16日(金) |
邪聖剣ネクロマンサー イシュメリアの悪夢(草野直樹/双葉文庫) |
「縄文伝説」に引き続き、これまた創土社の酒井さんが想い出のゲームブックとして、名前をあげている作品ですね。 邪聖剣ネクロマンサーはゲームブック版はおろか、原作のTVゲームも内容は全然知らなかったのですが、いい機会なので読んでみました。 オープニングで、現実世界に住む主人公達が、骨董品屋の古びた剣をイタズラで持ち出してしまいます。そしてその剣を鞘から抜いた途端、白い光と共にファンタジー世界のイシュメリア国にやってくるわけです。そして、いきなり王様から勇者として、ネクロマンサーの封印をするよう依頼をうけてしまうのです。 なんだか典型的な双葉ゲームブックという気がします。主人公達が少年少女の3人組というのもありがちだし。 引き続きゲームをプレイしていますと、このゲームの流れがだんだんわかってきました。だいたい一本道シナリオです。町で買い物&休憩→道中で魔物達と対決→次の町で買い物&休憩→道中で魔物達と対決→次の町で買い物&休憩→道中で魔物達と対決・・・・・・の繰り返しがストーリーの基本みたいです。 慣れてくると、ちょっと単調な気もします。武具の強さや、レベルアップの概念があって、ゲームが進むにつれて主人公達はだんだん強くなるのですが、そのぶん名前だけ違う強い敵が登場してくるので、戦闘シーンもあんまり変化を感じないのです。何度も繰り返して遊ぼうとすると、すぐに飽きてしまうかも。 また、「頭がウニになる」とか「ピザって10回言ってみて」とか時代を感じさせるセリフが登場するのも双葉ゲームブックならでは。
しかしこの作品だけのアイデアというか特徴もあります。夜になって宿屋や野宿で寝てしまうと、主人公が「夢幻の書」という巻末に用意されている夢の世界をさ迷うという趣向です。(あれ?どこかで見たようなシステムかな) この夢の中では、ランダムにいろいろな現象が発生します。気が付くと魔物たちが主催する裁判の被告人席に立っていたり、裸同然の姿で吹雪の中に放り出されたり、ローストビーフなどのご馳走を際限なく食べたり、内容は夢の中らしく理不尽です。場合によっては戦闘になって、技能ポイントが増えるかもしれないし、死んでそのままゲームオーバーになることも。悪夢は目が覚めるまで続きます。 でもね。この夢の世界でないと入手できない、たぶんクリアに必須と思われる情報があるのですよ。この情報が入手できるかは、やはりランダム。つまり運任せなんですね。これはちょっと問題かも。 イラストの方もしょぼい気がします。もちろん小学生当時の私が読んだら、印象が違うのかもしれませんが。
まあ、このように今読むと結構難のある作品なのですが、当時の小学生読者にはそれなりに楽しめたのではないでしょうか。 プレイに夢中になったとか、欲しいけど買えなかったとか、いろいろな理由で愛着のあるTVゲームのゲームブック版というのは、周辺グッズ的感覚でそれなりに愛せるものです。 その点、少々マイナーなTVゲームでもゲームブック版を出版してくれていた双葉文庫はエライ!と思っています。もっとも双葉文庫のメイン読者は、ゲームブックファンというより、TVゲームファンだったと思うので、今も双葉ゲームブックのファンという人は少ないのですけどね。
<追伸> もちろん現在でも通用する優れた双葉ゲームブックだって存在しますよ。誤解なきように。 ただ、酒井さんの書いていた「サイコロオール6の最強のキャラが全ての敵を倒して経験値を稼いでいっても、途中一ヶ所どうやっても勝てない敵」らしきものには気がつきませんでした。そういえば、このゲームはサイコロを使わないし、おかしいなぁ。もしかしたら酒井さんの読んだのは、勁文社の「邪聖剣ネクロマンサー イシュメリア魔空戦記」の方だったのかな。残念ながら、こっちは持ってないや。
|