冒険記録日誌
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| 2004年04月03日(土) |
ブラック・リバー・エメラルド(ピーター・ライアン/ボビージャパン) |
シャーロックホームズを原作にしたゲームブックは、「シャーロック・ホームズ10の怪事件」シリーズだけではありません。ボビージャパンからは、「シャーロックホームズ・ソロミステリーズ」というシリーズが出版されていました。ブラック・リバー・エメラルドは、そのシリーズ2作目の作品です。
本書の主人公はシャーロックホームズ本人ではなく、デビッド・ロジャーズという少年。パブリックスクールの生徒の1人です。 デビッドがシャーロックホームズの事務所に駆け込むところから、物語は始まります。彼はシャーロックホームズに、宝石(ブラック・リバー・エメラルド)盗難事件の犯人を探してほしいと依頼するのです。 被害者は主人公と同じ学校の生徒であり親友のマーク・エイブリー。そのマークはよりによって主人公を犯人として疑っているのです。
シャーロックホームズとの面会が終わった後、主人公は今までどおり学園生活を送りながら、1人で捜査を始めます。 マークの誤解を解くために、疑わしい人物や場所を調べていく主人公。なんだか健気です。 でも、そんな主人公の行動に左右されることもなく、事件にまつわる背景の物語はどんどん進んでいきます。 例えば重要な事件が起こっている時に、他の場所を捜査していると、もうそれを見るチャンスはありません。また見ることが出来たとしても、能力値チェックに失敗した場合は、小さな証拠を見逃すこともあります。 全ての証拠や情報を集めることはきっと不可能でしょう。 もし全ての分岐先に進む(というかパラグラフを読む)ことができれば、そして捜査の為の能力値チェックに成功すれば、推理する必要も無く事件の全容が完全にわかります。 本書の狙いは、知りえた情報だけを整理することで、穴あきになった残りの情報を推測して、事件の全容をつきとめることなのです。 読者の選択や主人公の能力によって、入手できる情報が違うので、プレイした人の数だけいろんな推理を求められることになると思います。 実はこの物語には無関係の事件も関わっているので、捜査が混乱してしまう罠がありますが、事件そのものは難解なものではないので、そう悩まずにすむことでしょう。
続いてルール面の話しも付け加えます。 主人公の能力値は体力点や観察力点などを始めとして6種類。他に所持品やお金も記録しますが、どれも書き込む必要はそうそうありません。 あとは冒険中に事件の証拠を見つけたら、記号のチェックを入れるくらいなので簡単でしょう。 総じて、さくさく読めるゲームブックとして楽しめる作品だと思います。
不満点は、シャーロックホームズが、多忙を理由に主人公と一緒に捜査してくれないこと。 彼は結局オープニングのあとは、最後の事件の種明かしのシーンまで登場しないのです。 ゲーム中は、たまに手紙や電報という形で助言をくれるのですが、シャーロックホームズを売り文句にしているゲームブックにしては、少々寂しい気がします。
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