冒険記録日誌
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| 2003年12月28日(日) |
ブラッドソード1 勝利の紋章を奪え!(デイヴ・モリス オリバ−・ジョンソン/富士見書房) その10 |
(ここから先はネタバレ満載です。ブラッドソードをプレイ予定の方は読まないで下さい)
神殿に近づくと、ハッグたちは見世物が終わったとばかりに、大鍋に集まって何やら調理をしているところだった。 話し掛けるとスープを味見するように進められたが、僧侶がいないので中身が安全なのかわからない。 大鍋のそばで蠢くイボガエルや目の腐ったカラスなど横目に見ながら断った。スープの効果がどうあれ、材料が食欲をそそるものでないのは確実のようだ。
道をすすみ、神殿の拝殿にたどり着いた。 そこは無人で、何体ものガーゴイルの像が侘しげに佇んでいる。 「なんだか怪しい雰囲気だな、おい。早くこんなところは出てしまおう」 リー・チェンが不満そうに言ったが、バーガンはかまわずに拝殿の中にめぼしい物がないか捜索をはじめた。 やがてバーガンが炎の護符を発見した───と、8体ものガーゴイルの像が動き始めたではないか。 「だから言わんこっちゃない」 「文句言っている場合か!こっちが2人じゃ勝負にならん。早く逃げるぞ!」 出口を塞いでいるガーゴイルに向って2人は突進した。 バーガンの剣は外れ、リー・チェンの魔法も失敗した。その間にも他のガーゴイル達が迫ってくる。 しかたなく先程の魔法の巻物を使用した。素早く戦闘から脱出できる巻物だ。 その瞬間、視界が切り替わって2人は拝殿の外に続く崖道を走っていた。 だが、ほっとするのもつかの間。岩陰からボロボロの鎧に身を包んだ2人組みの冒険者が現れたのだ。 「金と命をもらうぞ」 そう言って男達は向かってきた。見たところ身なりは悪いが、それなりに強そうだ。 2人は顔を見合わせる。覚悟を決め、剣を抜いて相手に向い合うと気合をあげた。 その声に男達は一瞬立ち止まった。瞬間、2人は背を向けて逃げ出す。 「あ、ちくしょう。待ちやがれ!」 背後で聞こえるわめき声を無視しながら、今度は火山口の方角へ走りつづけた。 さっきから続く全力疾走で、もはや息が苦しい。 しかもまた目の前に敵が現れる。炎の化け物、スキアピールだ。 奴らは火山口から次々と現れて、こちらをすっかり囲んでしまった。 氷の宝石はもう使った。さっき手に入れた炎の護符を使おうか迷ったが、ヘタをすると逆効果になりかねない。 もはや完全に追い詰められた。スキアピールが襲ってくる。バーガンが身を守りながら叫んだ。 「リー・チェン。早くこいつらを魔法で追い払ってくれ」 リー・チェンが必死に呪文を唱える。再び視界が切り替わる。 気が付くと2人とも火山口の外側に立っていた。 驚くバーガンにリー・チェンが説明した。 「緊急脱出の魔法を使ったのだよ。一度で成功してよかった。なんだかさっきから逃げてばかりだがね」 バーガンは目の前に見える、洞窟の天井に届きそうな小高い丘の上に目を凝らしてから言った。 「いや、目的さえ果たせれば何でもいいさ。見ろよほら。ゴールは目の前だぜ」 バーガンの指差す丘の上に、勝利の紋章がひるがえっているのが見えた。
******************************************* ゲームブックの戦闘では大抵の場合、逃亡すると良いことはありません。重要なアイテムが入手できなくなるとか、結局戦闘をする羽目になったりとか、逃げるという概念すらないことが多いです。ファイティングファンタジーシリーズのルールにいたっては、逃亡の説明で「臆病風は高くつく」とまで言われています。 しかしブラッド・ソードの世界では、逃亡という行為は無駄な戦闘を避ける一つの作戦なのです。この辺もこのシリーズの戦闘の面白さを増している要素でしょう。
続く
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