冒険記録日誌
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| 2003年12月18日(木) |
魔域の対決 魔法の王国3(モ−リス・サイモン/富士見書房) |
いよいよ魔法の王国シリーズの大詰め、最終章の「魔域の対決」です。 この頃のカー・デリングは魔法の研究を更に重ね、幼い頃に魔術の修業をしたあの「神秘科学アカデミー」の学長にまで出世しています。 しかしその代償に彼は、テレポートの魔法の失敗が原因で腰を傷めており、階段の昇り降りにも苦労する程、肉体的には衰弱していたのです。(余談ですがファンタジー小説で、悪魔と取り引きをするわけでもないのに、魔法使いが長寿という設定が多いのはなぜなんでしょうね。こんなに不健康そうな生活ぶりなのに)
さて、この巻ではシリーズのクライマックスとして、恐るべき怪物タラスキュー、そして宿敵の魔術師アルノとの対決が待っています。二人とも恐るべき力を持っている強敵です。 もちろん大魔法使いにまで成長したカー・デリングも負けてはいません。強力で多彩な魔法を使えるのです。特に前ニ作にはなかった「永遠個人」という種類の魔法達が重要で、これらはゲーム性に深く関わっています。 この呪文を発動するには、判断力というポイントを1つ消費しなくてはなりませんが、アルノとの魔法対決でもこれなしではあっさり負けてしまう可能性大。このあたりの駆け引きはちょっと面白いです。
そんなこんなで、この巻はストーリー的にもゲーム的にも、オススメの一冊です。・・・・・とまとめたいのですが問題点もあります。 エンディング直前が、ちょっとバグっぽいのです。 本書のエンディング到達までは、大きく二通りの方法があります。詳しくは書きませんが、それは先にタラスキューを殺してアルノと魔法で最終決戦を行うか、アルノ亡き後にタラスキューを倒すかです。そしてどちらのルートも難があります。 まず前者の方法だと、最後の戦闘で勝つために必要な「判断力+サイコロを2個を振って計34以上を出す」という勝利条件が厳しすぎるのです。この条件を満たすためには、例えゲームスタートに判断力の初期設定を最高値にしていても、判断力を消耗する「永遠個人」の魔法を使用する余裕がほとんどありません。通常のプレイでクリアするには、絶望的難易度と言えます。目標値は28以上くらいが妥当じゃないかと思うのですけどね。 そして後者のルートだと、駆けつけてきた仲間の説得に成功するシーン(パラグラフ192)の後に、何があったのか不可解なくらいに唐突な形でエンディング(パラグラフ212)に飛ばされます。どうもこれはバグのようで、192の後はパラグラフ180へ続くのが正解のようです。 とってもいい盛り上げ方をしておいて、最後の最後でこれは酷いでしょう。これからプレイする人は、このあたりを訂正してから始めることをオススメします。 死んだカー・デリングの父についても、謎が残るままでどうにも後味の悪い読後感でした。非常に残念。
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