冒険記録日誌
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| 2003年12月16日(火) |
魔力の杖 魔法の王国1(モ−リス・サイモン/富士見書房) |
今回は魔法使いを主人公にしたゲームブック、魔法の王国シリーズ3部作を取り上げたいと思います。 このシリーズの特徴はやはり、主役である魔法使いカー・デリングでしょう。 魔法の王国シリーズはAD&Dの世界を背景にしているので、カー・デリングは「魔法の知識は豊富だが、体力的なことはまったく駄目な学者タイプ」という、TRPGの方でおなじみのタイプの魔法使いなのです。 ゲームブックで登場する一般的な魔法使いは、剣もそこそこ使える魔法戦士のような奴が多いので、ゲームブックでは逆にちょっと新鮮です。
そんなわけで、そのシリーズ第一作目になる「魔力の杖」ですが、物語はカー・デリングの幼年時代から始まります。 病気で危篤状態となった母を台車にのせて、生まれ故郷の村に帰ってきた幼いカー・デリング。彼の父親は偉大な魔法使いでしたが、父亡き後は余所で貧しい生活を過ごしてきたのです。 そんな母子らを魔法を使う如何わしい者として、村人達は冷たく追い返そうとします。 親切な村の僧侶と共に母を看取ってもらった後、たった一人となったカー・デリングは、唯一の身内である叔父が経営している魔法学院を頼って一人で旅立ったのでした・・・。
ま、こんな出だしなのですが、僧侶から聞かされる父の謎の死など、壮大な物語になりそうな雰囲気を漂わせています。 それからゲームルールですがこれは能力値が3つあるだけで簡単です。ゲーム性もあまりなく、物語を楽しむタイプのゲームブックと思ったほうがいいでしょう。 さらにこの頃のカー・デリングは、既に才能はあったものの、まだ魔法に目覚めていない、ただの子供だったので、魔法ルールも特にありません。 この「魔力の杖」は、中盤のストーリーが2つに大きく別れています。 叔父が経営している魔法学院に頼るか、善か悪かもわからない父の友人を自称する男についていくかです。 最終的には、どちらでも同じように魔法は学べるのですが、面白いのは魔法学院の方。ここには同じように魔法を学ぶ生徒達がいて、みんな魔法の実験をくりかえしているのです。中には意地悪なクラスメートもいて、嫌がらせを受けたりもします。 このあたり、あの大ヒット、ファンタジー小説「ハリーポッター」に登場する学校を彷彿とさせるかもしれませんね。(もっとも、私はハリーポッターを読んでないのですが) 「魔力の杖」のストーリー自体はそんなに長くないのですが、強力なマジックアイテム「魔力の杖」をめぐる終盤の話しの盛り上がりがすごく、シリーズの続きを十分期待させるような内容です。
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