冒険記録日誌
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| 2003年08月09日(土) |
運命の巻物(リンダ・ロウェリー作/世界文化社) その6 |
<ゲームブック愛の物語 ─成長─> 洞窟を進むとあなたたちは、一人の老人に出会いました。 不思議なことに老人の頭上には沢山の星が輝いています。ここは洞窟の中なのに? あなたが挨拶をすると、老人はW・W・ワルデマールと名乗りました。 「W・Wとは世界に名だたるの意。見ろ、わしは星達を作り出した。全てわしだけのために輝いておる。驚くべき力であろう?」 老人は自慢げに手を叩き、あなたがうなづくを見て満足そうに話しを続けた。 「わしは非常に強い力を持つ、12レベルの魔法使いじゃ。何百年もの研鑚を重ねた末、今ではわしの名は永遠に天に輝くことになったのだ」 あなたは老人の自慢話にウンザリして、つい言ってしまった。 「それだけの実力があれば、あなたの力よりも、ご自身のうぬぼれの方が強いことはおわかりでしょうね」 老人はカッと目を見開いて、あなたを指差しました。 「よくもそのような侮辱を!そこまでえらそうに言い切るなら、それだけの術を見せてみよ。わしと魔法比べをしようでないか」 しまった。ワルデワールの魔術書は、あなたのスペルブックの10倍は分厚そうです。 「ワルデワール先生。時間がないことをお分かりいただけませんか。僕達はコブリンに追われているんです」 「コブリンなぞわしを恐れて、ここまでやってくることはない!さあ、勝負をしようではないか」 困ったあなたを見てショーも助け舟を出したが、ワルデマールは聞きませんでした。 あなたは覚悟を決めて呪文を唱えました。さっきと同じく眩しい光が部屋を満たします。 「どうかしら、光の呪文は」 「そんなものレベル1の初歩魔術にすぎん。それではこちらの番じゃ」 ワルデマールが手を振ると、色とりどりの花々が洞窟中に降り積もって、春のような光景になりました。 「まいったかな。お嬢さん」 余裕に満ちた声を聞いて、あなたは負けず嫌いの気持ちが強くなりました。 「そんなのがご自慢なの。それなら私は人の姿を消すわ!」 あなたの魔法が完成するとワルデマールの姿が消えました。しかしすぐに部屋の隅から声がしてすぐに姿をあらわしました。 「それでやっとレベル2だな。お次は蝶の術じゃ」 たちまち無数の華やかな模様をした蝶があらわれました。あちこちを飛び回ったり羽を休めたりしています。 「すごい術!あっ、いいえ、まだまだ。蝶を消してみせるから」 そんな術は使いこなせないのに、あなたは意固地になって呪文を唱えました。 蝶は消えません。しかし、一羽の蝶があなたの前を舞い揚がって言いました。 「ミアリィ。そろそろ、馬鹿げたことはやめにしよう」 その声を聞いて、あなたは驚愕しました。 ショー!?わたしったらショーを蝶に変えてしまったのだわ。どうしましょう。どうしたら元に戻せるの? おろおろしながら、ワルデマールを見上げます。こうなったら彼に助けてもらうしかありません。 「見事な第4レベルの魔法じゃった。しかしな、お嬢さん。こういった無謀な使い方は感心せぬ。元に戻す方法を知らないとはな。恥ずかしいと思いなさい」 あなたは首まで赤くなった。 「なんと言って謝ればいいのか・・・」 「なら、何も言わなくてよろしい!このささやかな魔法比べを教訓に、今後は自分の魔法に責任を持つことだ」 恥ずかしい。よりによって、ショーの目の前でこんな羽目になるなんて・・・。
「しかしこの度は、わたしにも責任はある」 ワルデマールが急に声を落として言いました。 「おまえさんの指摘は大変的を得ていた。うぬぼれは最大の弱点じゃ。もうこの茶番を終わらせよう」 そう言って両手を振ると、ショーの姿も元に戻りました。 「それで。おぬしたちは、なぜわしを尋ねてきたのだ?」 あなたちが事情を説明すると彼は手を一振りし、花と蝶も消して叫びました。 「では、ぐずぐずしておれん。出発するのじゃ。案内してしんぜよう」 「一緒に来てくださるの?」 あなたはびっくりして聞きかえしました。 「魔法の洞窟の前には意地の悪い、緑の竜が待ち構えておる。むざむざ、おぬし達がやられるのを見るのは忍びぬからな」 ワルデマールは長い髭を肩の上にのせ、口笛を吹きながら、もう一つの出口に向かって歩きはじめました。 「さあ、出発!早くついてくるんじゃ!」
******************************************* やっと、物語らしくなってきました。 そう、苦い経験を得てミアリーさんは成長するのです。 がんばれっ、ミアリー。 (もはや完全に傍観者モード)
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