冒険記録日誌
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2003年06月04日(水) 失われた魂の城(デイヴ・モーリス Y・ニューナム/創元推理文庫)

ゴールデンドラゴンシリーズ4巻目。
この巻のみ、デイヴ・モーリスとオリバー・ジョンソン以外の著者に、Y・ニューナムという作家が登場しています。いったい誰でしょう?
正体はデイヴ・モーリスの奥さんだそうです。ゲームブックに理解のある奥さんは羨ましいですね。
いやいや、思わず愚痴っぽくなりました。
さて「失われた魂の城」はある裕福な商人から、亡き父の魂を救い出してくれという依頼を受けるところから物語が始まります。彼は生前、スランという悪魔と契約して金持ちとなった為に、死後はその悪魔の城に魂を拘束され助けを待つ身なのだそうです。
私としては「そもそも、そんな契約した君の父さんが悪いのでしょうが」と思うのですが、冒険自体はとても面白いです。
この物語の敵となる悪魔スランは“乙女の涙”や“四つ葉のクローバー”といった6つの品物が弱点とわかっていて、前半はその道具を集める為に町の中を奔走するのです。
そして後半は、いよいよ悪魔の城に乗り込むわけです。
スランとの最終決戦では、必ずしも全ての道具を持っていなくて大丈夫ですが、その分不利な戦いとなります。このあたりの絶妙なゲームバランスがとてもいい。
最初は町のならず者たちとやりあっていた主人公が、終盤になるにつれて超自然の危険につき進んでいくようになる展開にもワクワク。純粋なファンタジー小説としても良く出来ている気がします。
ゲームと物語の融合というのは、こういった作品のことを指すべきだ。そう思わせる一冊でした。


山口プリン |HomePage

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