冒険記録日誌
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| 2003年02月25日(火) |
トラブルくらぶ事件ファイル オリーブたちのアブない放課後(沙藤いつき/双葉文庫) |
この「オリーブたちのアブない放課後」については、すでに“蒼洋”というHPで麻呂氏が素晴らしいレビューをしておりますので、改めて私が言うことはありません。 こちらのページをご覧ください。
蒼洋 http://www15t.sakura.ne.jp/~mope/index.html (オリーブたちのアブない放課後の項) http://www15t.sakura.ne.jp/~mope/gb/011.html
以上。
と、終わらせるのも手抜きですから、私自身の感想も書きましょうかね。 私的には、「オリーブたちのアブない放課後」はペパーミントゲームブック最高峰の作品だと思っています。 もちろん少女小説の雰囲気をベースにしているのですから、この手の雰囲気に耐性が無い方にはつらい内容です。しかしこれは女の子向けゲームブックなのですから、ここは自分が漢なゲームブッカーであることを忘れて、コバルトとかX文庫が大好きな少年少女の気持ちになることです。深呼吸して、覚悟を決めてから読んでみましょう。
さて、そんな視点で読んでみればこの作品は、小説として読んでも良く出来た内容と思います。 物語の舞台は私立白蘭学園という場所でいわゆる学園物なのですが、生徒達は特待(金持ち)コースと一般(貧民)コースに分けられていて、制服まで違っているというとんでもない学校です。 この学園で主人公の所属するトラブル解消研究会(略してトラ研)の雰囲気がいい。 一癖あるイロッポイ美少女、宝塚系のかっこいいお嬢様、ひたすら食べている体育会系で陽気な奴、皮肉屋で正義感のある格好いい少年と部員が曲者揃いです。 部室にコーヒーカップがないので、部員達はビーカーにコーヒーを入れて休憩しています。他のゲームブックは全体にそっけない文章が多いですから、こういった何気ない描写は楽しいです。 そして本作の主人公、野原菜摘が恋をする男の子は、学園創始者のひ孫で生徒会長の葵様。彼は成績優秀、何より美形なので学園中の憧れのまと。その権力に奢ることもなく温和で優しい性格と、何から何まで完璧超人なのです。普段から葵様は親衛隊の女の子にガードされていて、主人公はやすやすと近づけません。憧れの葵様と話しする機会を得るたびに、葵様チェックというこれまたこのゲーム独特のポイントをつけていくことになります。 基本的に、学園内で発生した宝石泥棒事件を中心にストーリーは進みますが、お嬢様達による風紀委員会(兼、葵様親衛隊)百欄ソロリティーズと、トラ研との対立とか面白い展開が次々とやってきて飽きさせません。 ちなみに葵様とほとんど話さなくてもゲームは進みますが、最後の最後で困る事になります。というのも、葵様チェックというのは、恋愛フラグというより事件の情報をどれだけ葵様に伝え、彼の援護をもらえるかという現実的な意味を含んでいたからです。 一発逆転の痛快なエンディングを拝みたければ、捜査の合間になんとか葵様と話す機会を作りましょう。
この作品、ゲームバランスの方も良く出来ているので侮れません。 ペパーミントゲームブックで唯一続編が作られたのも理解できます。 「トラブルくらぶ事件ファイル2 放課後のキス泥棒」は是非とも読んでみたいものです。誰か譲ってくれませんかねぇ。
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