冒険記録日誌
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| 2002年07月03日(水) |
かぎばあさんの家みつけた(手島悠介/岩崎書店) |
この本は児童書です。 面白い事に、本書は単発ものの作品ではなく、かぎばあさんシリーズとして出版されている中の一冊なのです。 シリーズの他作品は普通の絵本なのですが、本書だけゲームブックになっています。 これは本書の前書き後書きから推測するに、ゲームブックは一つのジャンルではなく、表現の一手法という考え方で本書は生まれたようです。なかなかの実験作じゃないでしょうか。 全パラグラフはわずか12。当然複雑なルールなどなく、指示通りに読み進めるだけです。決められない人はこちらをどうぞ、と選択肢の傍にはあみだくじや迷路ゲームが書いてありました。 内容は児童書だけあって子供向け。小学校のあるクラスで班がえを行うところから、お話は始まります。先生は自分の好きな人と一緒に班を作っていいと言いました。 主人公の大介は、幸一君をじぶんの班にさそおうとしたのですが、同じ仲間の洋と美雪はのろまな幸一君がいやみたいです。さあ大介は幸一君を班に入れたいか、あきらめるか? こんな感じで話しは進みます。全てのパラグラフが長文で、先生に怒られて主人公が登校拒否症になったり、洋君達と話し合いをしたり、考えさせられる内容です。 全体的に学校の道徳の本と言う印象で、児童書としてはいまいち私の好みではありませんが、ゲームブックの手法を利用した作者の意図は見事に成功していたと思います。 この試みはぜひとも後発につなげて欲しいものです。
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