days;flower-bird-wind-moon
みんみん



 昼どき・夕どき

昼、仕事の合間に於保多神社に行った。りー氏に「なんか今日、鳥もらえるらしいからもらってきて」と頼まれたのだ。
於保多神社は菅原道真公をおまつりしている。天神さんで鳥といったらうそ替えだが、これは新春の行事だと思っていた(ちょうどその時分を富山では「天神さんの正月」と呼んでいたりもするようだが)。それではこの時期にいったい何の鳥だろうか、と思いつつ出向いた。既にたくさん香具師(やし。テキヤ)のお店が出ていた。
お参りをしようとしたらどんどんどんと太鼓をたたいてくださった。ごあいさつも済み、さて鳥さんは、と思い、神社の方に尋ねてみると、それはやはりうそ替えのことで、しかし数年前から既にやっていないとのこと。かつては春の大祭の今日この日にうそ替え神事を行っていたらしい。
境内はたくさんお店が並んでいてにぎやかだった。ちょうどお昼どきだったので、近くの会社にお勤めとおぼしきスーツ姿や制服姿のみなさんがたこ焼きなどを買いに来ていた。楽しそうなお昼ごはんだな。


夕方、仕事帰りに実家に寄ったら父がいて、何やら作業をしていた。大量(と書いたからには本当に大量)のタコを洗っている。タコは父の好物だ。
「タコとミギスとイワシ買ってきたけど、持っていくか」と言うので、んー、と答える。
「(金沢の)近江町市場で買ってきた」と言うので、なに、今日休みだったの、と聞くとそうではなくて、金沢で仕事があったので、その前にクーラーボックス持参で買い物に走ったらしい。

ミギスは正しくは「ニギス」というらしいが、富山でよく食べられている大衆魚で、白身だがなかなか脂が乗っている。生や干物を焼いたりして食べる。
祖母がよく晩ご飯に出してくれたこともあって私には懐かしい味だが、りー氏はあまり好きではないらしい。もっとも以前、あまり好きではないということを知らなくて、結婚して最初の晩ご飯に焼いてみたのがニギスだったのだが(片栗粉とカレー粉をつけて)。
今から思えばもうちょっとかわいらしい献立であってもいいように思うが、それもしゃらくさいように思われて(そういえば実家にあった料理百科風の本に「新婚の日の朝に」なるお題の献立があったな)、自分なりにフツーにしてみた結果だったのだろう。ポテトサラダも作ったように思う。

父がタコを下ゆでするというので、ゆでたタコの足を1本もらうことにした。1本といってもたいへん大きい。
上に書いたような理由でニギスは辞退申し上げ、かわりにイワシをもらうことにした。焼いてもよかったけれど、うんと新鮮というわけではなかったので、梅干しを入れて煮ようと思った。ついでに下ごしらえまでさせてもらう。内臓を取って適当に切って、酢で下ゆで。ここまでやれば後が楽だ。
「本当は内臓ごと食べたらいいがだけどのう!(=いいのだけどね)」
確かに。でもイワシって煮ようと思っても盛りで見かけることってなかなかないし、と言いながらうまそうな子(卵)が出てきたりするので、そのまま捨てるのが大変もったいなく思われる。
というようなことをやっていると、そりゃのいだって流しの中が気になりもする。鼻が効くというのも大変だ。
のいのじゃないよー残念だったねー。

結局イワシは富山の郷土料理「すいり」にしようと思いつつ、そもそもがよくわかっていないため(りー実家に電話して聞きたかったのだが、既にりー母は夜のウォーキングに出てしまっている時間だった。超早寝のりー父は就寝)、梅煮ともすいりともつかない料理になった。

ちなみにすいりは「酢入り」と書くのだと思う。酢入りのイワシの煮物である。
# アクセントは「い」に。
結婚するまで私は食べたことがなかったが、りー実家では食べていたらしい(味の好みは同年代の人に比べてドメスティックなのに、なぜか富山方言の基本語彙を知らなかったりするりー氏。その逆ならよくあると思うのに)。

2004年05月25日(火)
初日 最新 目次 MAIL HOME