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■ 近未来
忘れた頃に未来は、見えるもんね。 ……それは嘘。
「大丈夫、ちゃんと握ってるから」 先行くあの子はそう言った。いつも一人で先に駆けていってしまう、奔放なその姿からは想像もつかない、優しい声で。 「私が●●のこと、置いてきぼりにしたことないだろ?」 どこまで遠くに行ってしまっても、ついて来ていないことに気づいたら少し戻って待っててくれる。迎えに来てはくれないけれど、追いつくのを待っててくれる。同じことはできないけれど、できそうなところまで考えて提案してくれる。いつか追いつくのを待ってる。 いつか、同じ世界を見られる日を待ってる。 「そうか」 あの時、あの時、すべての行動が、あの人の意志を表していた。 「手を離したりしないって」 あまりに強く握りすぎていたのか、苦笑い。 でも気づいていた。強く握っていたのは、自分だけじゃないと。何が欲しかったんですか?そう尋ねても、きっと無自覚なんだろう。一人でどこまでも行けるのに、ちっぽけな手を強く握っていた貴方。一人で世界の果て、貴方しか見られない風景にたどり着いてもよかったのに。 望むことは、もっと難しいこと。 「怖くないよ」 だから二人で行こう。 暗にそう言っていたのだとしたら。
「手を離したりしませんよ」 暗がりで、赤くなるほど握られた手。強張る指をそっと包む。我に返ったのか、急に目にいつもの光が戻る。 「痛かったでしょう?ごめんなさい」 「……貴方を一人にはしません」 その言葉に、顔を上げた。泣かないのだ、この人は。あの子が泣かなかったように、世界の果てまで一人行くために、涙は乾いてしまった。 「遠慮もしないでください」 貴方が走り出す後を、離れずついて行く。
遠い昔は、未来によく似てる。
2009年03月07日(土)
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