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風紋 もくじ / この前 / この後
お昼過ぎ、電車の中で、小さい花束を持った若い男性を見かけた。 駅前の、そこそこ人通りの多い道に立っている1本の樹の枝に、小さいお守りがかけてあった。 あれ、どうしたんだろう?と注意を惹かれた。なぜこんなところにお守りがかかっているのだろう? この場所にお守りが落ちているのを見つけた人が、とりあえず近くの樹の枝にかけたのかもしれない。落とし物は交番に…とは言うものの、お守りであれば、そこまでのことはせずに、とりあえず近くに置いておくのがよいのかもしれないから。 あるいは、個人的にどうしてもこの枝にお守りをかけたかった人がいるのかもしれない。何かの理由で。 …ま、まぁ、可能性としては前者の方が高いような気もするけれど。 そこそこ人通りの多い道だから、いろいろな人が通るのかもしれない。何だか、街全体を守ってくれているもののようにも見えたのだけれど。 書きながらふと気がついたのだけれど、花束もお守りも、何となく「強い思いが込められたもの」のように思う。いや、本当は花束やお守りの他にも、強い思いが込められたものはたくさんあるし、日常のさりげなく何気ないものの中にも強い思いが込められたものはたくさんあるのだろうけれど(例えば小石ひとつにしても)、花束やお守りというものは、ぱっと「あぁ、何か強い思いが込められているのだな」と思わせる何かがあるように思う。 たまには、そんなことに思いをめぐらせてみるのもよいかもしれない。 立春。
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