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風紋 もくじ / この前 / この後
メモ程度に、どうしても書き残しておきたいという気持ちだけで書き残す。 今日という1日は、私自身にとって1つのターニングポイントになるだろうという覚悟をして家を出た。家を出ないという選択もあったが、私は家を出て目的地に向かうことを選んだ。かなりの覚悟。私にとって良い方にも悪い方にもどっちにも転ぶ可能性があった。大げさかもしれないが、生きて帰ることができるかどうかわからないけれど絶対に生きて帰るという覚悟を決めて家を出た。 目的地まで、最初はいつもの通りに、ほけほけと歩き、電車に乗っていた。目的地が近づくにつれて、だんだん緊張感が高まっていった。普通に歩いていると、何でもない風景が“心のアンテナ”に引っ掛かって涙が出そうになっていた。スーパーの風景。何気ない道路。だから、できるだけ頭を真っ白にして歩くように心がけたが、そうすると、“今日しか見られないもの、今日しか感じられないもの”を得るチャンスを自ら手放すことになってしまうし、…と思うと、本当にわけがわからず歩いていた。 ここが公開の場であるという関係から、そうなるに至った詳細はちょっと省略させていただく。まだ、私自身が“それ”を言葉にして発信できる段階にない、ということもある。 結果的には、良い方向に転んだ。 嬉しかった。こんなに私自身の素直な気持ちを話したのは初めてだったように思う。その証拠に、私、すごく大声で喋ってしまっていたから。うまく言葉にできなくて、黙り込んでしまって、もどかしくて、知らず知らずのうちに、右手で左腕を何度も叩くということを数秒続けたり(状況説明が難しいが、「包丁で野菜をすとすとすとと切るような感じで」)、喉元に右手を置いたまま数秒佇んだりといったこともしていた。それでも、皆、話を聴いてくれた。そして私も、皆の話を、それぞれの人の眼をまっすぐに見つめながら聴くことができた。 私は今までずっと泣けなかった。素直な気持ちを“気のせい”として押し込めてきたこともあった。けれど、泣きたい時に泣くことはとても大事だと思う。泣く理由が何であれ。 そして、外から見て「泣いている」という状態になくても、「心の中で泣いている」という状態があるということを、今日、気づかせてもらった。 「推測でしかないんですけれど、あなた、今、心の中ではすごく泣いているんだと思いますよ。これまで泣けなかった数年間分を、今、泣いているんだと思いますよ」という言葉をもらって、図星です…と思って、その時だけ、ちょっとだけ、じんわりとほんとに涙が浮かんだ。いろんな感情がないまぜになって。でも、一方ではとても穏やかな気持ちだった。 あくまで比喩なのだが、やっと、ここまで来ることができた。しかし、まだ先に行きたい。絶対に行くんだ。
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