風紋

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2003年06月15日(日) 近況 / 「感傷的な唄」 / 「五つのラメント」と、終わらないということ / 読んだ絵本と読みたい本 / 呟きを二つ

昨日(14日)は、自主的に休日出勤(?)してちょこちょこと仕事を片付けていたのだけれど、今日になってどっと疲労が出てしまう。疲労している場合ではないのに。起きて仕事をするだけの体力もないし、全身から力が抜けていくようなだるさとか、休もうとしても気持ちばかり焦って休めないとか。

…最近、休日のたびに同じことを書いているような気がする。でも多分大丈夫だと思うし、先月に比べれば随分と楽ではある(少なくとも外に出たときは元気だから。だから昨日も外出したのだが…)。そのうちもとに戻ると思う。


思い出した音楽
川崎洋の詩による五つの女声合唱組曲「やさしい魚」より“感傷的な唄”(作詩:川崎 洋/作曲:新実徳英)

男声・女声・混声と3種類あるのだけれど、私が歌ったことがあるのは女声合唱版。しかも5つの曲から成る組曲なのにこの曲しか知らない(…のだけれど、“やさしい魚”も好きな詩です。美しくてかなしいですが)。ちなみに私は、Mezzo SopranoとAltoの間をふらふらしていたのだけれど、この曲を歌った時にはMezzo Sopranoを歌っていた。

好きな部分を切り取ることができないほど、この詩の全体が好き。その中でも、「風が吹くから 生きよう そう思う前に もう足が駆け出していた」という冒頭部分が好き。そして、途中の部分で、「体温計のケースに忍ばせて 手渡そうとした恋文は」という部分も、ちょっとお茶目で好き。

その中で、印象に残っているのが最後のこの部分。今でも、不意にこの部分の詩とメロディーが浮かんで離れないことがある。静かな気持ちになる。

「死んでしまって
肉体もすっかり滅びても
私の
もう此の世のものではない耳に
美しい歌だけが聞こえてくる
そんな祈りが
もしかして
適えられないだろうか」



今日、聴いた音楽
男声合唱組曲「五つのラメント」(作詩:草野心平/作曲:廣瀬量平)

「ラメント」(lament[英],lamento[伊])とは、 インフォシーク英和辞典によると「悲歌」という意味があり(こちら)、また、ヤマハの音楽用語辞典(こちら)によると、「〔1〕死者を悼む音楽の総称。〔2〕嘆きの音楽」であるそうだ(こちら)。

話は飛ぶ。昨日、数年前に私が書いた日記をふと見つけて読んでみた。もちろんWeb上ではなくノートに記したもので、書いた当時は特に誰に見せようと意図していたわけではなかった。今でも誰にも見せていない。けれど、自分の中に渦巻くもの(?)を誰かに伝えたい、伝えられなくてもいいから外に出したい、自分の中に留めておけないという気持ちが常にあったような気がする。

読んで、笑った。可笑しかったのではない。面白かったのでもない。うまく説明できないけれど、気が付いたら笑っていた。ノートの中にいる自分も確かに自分であり、今の自分と同じ人間だ(と思った)。そして、今の自分にとって鍵となる(と思っている)言葉がところどころに記してある。なぁんだ…とも思った。この時にもっとこうしていれば…と思わないでもない。けれど、「こうならなかった」ことも「なった」ことも含めて、その延長線上に今の私がいる。それは別に後悔はしていない。

「数年前の自分」を見ている「今の自分」がいて、そして、数年後に、またこのようにして「今の自分」を見ている「数年後の自分」がいるのだろう(私が無事に生き延びることができていたなら)。目眩がしそうだが。

と考えると、「終わらないんだなぁ…」と思った。何がどう「終わる」「終わらない」と思ったのか説明できないけれど…。「今」から「昔」を振り返ってみても、その「今」も「未来」になれば「昔」になるのだろう。その時には、「今」における「昔」は「昔の昔」(?)になっていて、振り返り方(捉え方?)も変わっているかもしれない。そう考えると、「今の自分」が「昔の自分」を振り返ることや、「今の自分」を形に残すこと(言葉にしたり、写真を撮ったり)は、やや恥ずかしいことでもある。それでも、少なくとも恥ずかしさは越えたいと思う。今は、今を大切にしようと思う。言葉にできることも、できないことも含めて。…あぁ、まとまらない。

で、なぜこの曲なのかというと、数年前の日記を読んでいる時に、ふとこの曲集の5曲目「Volga」のメロディーが浮かんできたから。「歴史は時に逆流し」と、各パートが何度も何度も掛け合いをする箇所のメロディーが。なぜだかわからないけれど。で、いま聴いてみると、その後に「三重写しの しかし悠々の母なる動脈」という歌詩があった。三重写し、か。さんじゅううつし、か。

音楽と考えた内容との間に全然関係はないのかもしれない。ただ、ふっと浮かんだというだけで。


読んだ(?)絵本
『たれゆくままに−きがつくとそばにいる』(末政ひかる,2001年,小学館)(詳細1)(詳細2
「たれぱんだ」の絵本の3冊目。久しぶりに本棚から引っ張り出した。とにかく好き。理由もなく好き。

読みたい本
(1)『そして、星へ行く船』(新井素子著,1987年,集英社コバルト文庫)(詳細
何度も読んだ本なのだけれど、引っ越しの混乱で、どこにしまい込んだか忘れてしまった。今読みたいのに。
(2)『約束』(村山由佳著(絵:はまのゆか),2001年,集英社)(詳細
そういえば1年くらい前から読みたい本だったのに…。この本の一部分の文章だけを読んだことがあって、その部分がものすごく印象的だったので。


数日前に「そよ風」に書いたことだけれど。

私は、あなたの役に立つようなことは何ひとつできないのかもしれない(というかできていないし)。けれどあなたに逢えて良かったと思う。微妙に意味不明な文だが、そう伝えたい人が何人か(何人も?)いる。いつもありがとうと思う。


私が記憶していることの全てが私にとってやさしい形で残っているわけではないけれど、それでも私はいま幸せだし、生きていけるのだなぁと思うことがある。


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浜梨 |MAIL“そよ風”(メモ程度のものを書くところ)“風向計”(はてなダイアリー。趣味、生活、その他)