風紋

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2003年01月25日(土) 私はここに居ます / 自己嫌悪 / 屋根の色 / ほんとうにごめんなさい

今から書くことは、あまり上手に書ける気がしない。でも思い切って。

多少長くなるのだけれど、以下、引用。

「グラウンドにならぶ六百人の生徒。
全員そろいの白いシャツを着て、紺色のスカートとズボンをはいて、黒い髪の毛。そういう人間が六百人も整列して、だまって立っている。
一瞬、六百人がみんな、同じ人間のように思えた。男と女のちがいがあるだけで、クローン人間のように、みんなそっくりなのだ。
でも、ほんとうはちがう。
わたしがこうやって頭のなかでゴタゴタ考えているように、あの六百人もそれぞれべつべつのことを頭のなかで考えているはず。
だれがどんな悩みや気持ちをいだいているのか、ぜんぜん、わからない。でも、たしかにあそこには、六百通りの考えや気持ちや悩みがあるのだ。
まためまいがおきそうだった。
前をむくと、増村みずえは机につっぷしていた。よく見ると、肩が震えていた。
また泣いているのかもしれない。
あそこにもひとつ、わたしの知らない悩みがある」
(魚住直子著「非・バランス」,講談社,1996年刊。第36回講談社児童文学新人賞受賞作だそうだ)

引用したのは、主人公の「わたし」(中学2年)が、朝礼中に気分が悪くなって教室に戻ってきて、教室の窓から朝礼の風景を見ている部分なのだけれど、これと似た気持ちを、私は、満員電車の中で、あるいは満員電車を抜けて大勢の人と一緒に改札を出る時に感じることがある。同じ方向へ行く同じ電車の同じ車両に乗っていたとしても、皆が同じことを考えているわけではない。新聞を読んでいるあの男性にはあの男性の事情(?)があって、携帯電話でメールの文面を打ち込んでいるその女の子にもその女の子の事情(?)がある。

大勢の中に居ると、自分がなんだかどうでもいい存在のように思えてきて、大勢の中に自分が埋もれて消えてしまいそうな気がして、不思議な気分になることも多い。私がすごくすごく悩んでいる時でも、世の中の大多数の人はそれを知らないし、そもそもそれは大多数の人にとってはどうでもいいことだろうし。逆に、私はあそこに座っているあの人がもし苦しんでいたとしても、その苦しみの内容はわからないし、そもそも苦しんでいることさえ知らない(ことが多いだろう)。

それでも、自分の存在がどうでもいいものであることを知っていながら、なお、何となく、「こんなことを考えているこんな私がここに居ます」と言いたくて(それにどんな意味があるのかわからないけれど)、それで私は日記を書いているのかもしれない。フロッピーの中ではなくて、わざわざこの場所に。

そして、私以外の他の人が、どんな考えや気持ちや悩みを抱いているのかは、「わたし」と同じく私にもぜんぜんわからないのだけれど、確かに、他の人にもその人その人の考えや気持ちや悩みがあるということを感じたくて、それで私は他の人の日記を読むのかもしれない。なぜ感じたいのかはわからないのだけれど、あえて言うなら、独りでないことを実感したいからなのかもしれない。私とは違う考えや気持ちや悩みを持っていても、何らかの考えや気持ちや悩みを持っている人がそこにいるということを。

ごめんなさい。なんだかまとまらないわ。


あまりこの場所で嘘をついても仕方がないので正直に書くと、「こんな状態を調子の悪い状態だとは客観的には言ってはいけないと思うけれど、主観的には調子が悪いような気がする」という感じ。不適切な行動や発言が増えている。

本来しなければならないことや頑張らなければならないことに対して、どうしてもやる気が起きなかったり、本来は愛想よくにこにこと笑っていた方がいい場面で、どうしても笑えない時は、どうすればいいのでしょうと途方に暮れる。

いや、今日そういうことがあって、自己嫌悪にはまってしまったので。ほんと駄目だわ私、と思った。


前の家の屋根の色と同じ色の屋根の家を見た。色としてはそれほど突飛な色ではないものの、屋根の色としてはあまり見かけない色で、私も「あ、あの屋根は前の家の屋根と同じ色だ」と自覚したのは初めてだった(本当は他にもあるのに、私が見落としていただけかもしれないが)。前の家を思い出す手がかりになるものを見ると駄目だなーと思う。気持ちが、うわーっとなる。

毎日のように、前の家の跡地を通って帰ってきている。昨日、ふっと振り返ってそこを眺めて、“恨みなんて別にないよ”と一旦は思ったけれど、“恨みなんてない”と言っている時点で自分の中に恨みがある程度は存在する(もしくは存在したことがあった)って言ってるようなものじゃないかと、苦笑する。

いや、誰も何者も恨んでないし、仕方のなかったことではあるのだけれど。ほんとに。


やたらめったら言い訳が多い。ごめんなさい。ついでに今日の日記は下向きで(という自覚はある程度はあるので)ほんとうにごめんなさい。もう少ししっかりします。


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浜梨 |MAIL“そよ風”(メモ程度のものを書くところ)“風向計”(はてなダイアリー。趣味、生活、その他)