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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2011年03月02日(水)
Vol.773 旅先でのハプニング

おはようございます。りょうちんです。

先月の初め、両親を連れてドライブに出かけた。目的地は水仙の花で有名な房総半島の保田という場所。花の見頃はすでに過ぎてしまっていたが、水仙ロードと呼ばれる小道の最終地点である人工湖で、俺らはちょっとおもしろい体験をした。
湖の駐車場に車を停めていると、恰幅の良いおばあさんがふたり、血相を変えてひどく慌てた様子で近づいてきた。いくら暖かな日だったとはいえ、まだ2月。なのに彼女たちは上着を脇に抱えシャツ一枚、しかも額に光る汗をハンドタオルでぬぐっていた。事情を聞くと、ずっとバス停を探しているんだという。あいにく俺らも初めての土地、どちらにバス停があるのか、そもそもこのあたりにバスが通っているのかさえ知らない状態なのだ。少なくとも今俺らが通って来た道にはバス停など見かけなかったと話すと、彼女たちは逆の方向に向かって再び歩き出した。
それからもう俺らは、彼女たちが無事にバス停を見つけられたのか、そればかり気になって仕方なかった。散歩も適当に切り上げて俺らは車に乗りこむと、もしもこの先まだバス停を探している彼女たちを見つけたら、今度は車に乗せてあげようと意見が一致した。車を走らせアップダウンの激しい山道をさらに進むと、そこにはまだ必死でバス停を探して歩き続ける彼女たちがいた。
車の中で、息を切らしながら話す彼女たちに耳を傾ける。ひと足早い春を見つけに房総半島まで来た彼女たちは雪深い長野に住む姉妹で、駅からバスに乗って湖まで来たものの降りたバス停がどこだったのかわからなくなってしまったんだそうだ。「まったくふたりともひどい方向音痴なんだから!」と笑っていたが、時計を見るとバスはとっくに出発していたので、車はそのまま駅へ向かうことにした。見ず知らずの人を乗せたわずか20分のドライブ。これも何かの縁だと思う。
旅先でのハプニングは、俺にも数え切れないほどある。その時はどうしようかと青くなり必死になるけれど、あとから思い返すと逆にそれこそが楽しかったりする。彼女たちも、あの日の出来事はステキな思い出に変わっただろうか。