蛍桜

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Raining3
君は笑う。でもそれは僕に向けられたものじゃない。電話越しの、あいつに、だ。とても長い時間、君はあいつと話をした。いや、長く感じただけかもしれないけど。でも、僕は知っている。君のそのポケットには、あいつにもらったネックレスがずっと息をしているということを。それでも君は、今僕の隣にいるということを。
「じゃあね」
いつもよりトーンの高い甘い声で君は電話を切った。それからしばらくは、何も言わなかった。あの時、君は何を考えていたの?

「ほし」
「え?」
「星、キレイだね」
君はまだ生まれたての赤ん坊にような優しい顔をしていた。今までの苛立ちや、もどかしさや、嫉妬なんか、もうどっかに行って、また君の魅力に引き込まれたんだ。ズルイね。
でもね、夜空を見上げると、君の言うとおり星が必死に輝いていたから、なんだかおかしくなって笑っちゃったんだ。
「変なケンちゃん」
「変にもなるさ」
僕は君に唇を押し付けた。それはあまりにも幼稚なキスだった。それでも君は、赤ん坊のようにキョトンとしているだけだったね。せめてそのとき、君が天使のように笑ってくれていたら、と思うよ。

君を汚したのは、僕、だ。他の誰でもなかった。



2006年08月02日(水)

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