蛍桜

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Raining2
砂浜に腰を下ろすのは嫌だと君が言うから、海から少し離れたコンクリートに座った。波の音は聞こえるけれど、決してここまで押し寄せることはなかった。それに安心したのか、君は僕にもたれかかって小さな寝息を奏でていたね。届きそうで届かない唇。僕のものじゃない君。苛立ちともどかしさで僕の頭はいっぱいだった。それでも、関係ないくらいに胸が高鳴っていたのを今でも覚えている。
生まれ変わるなら。
気を惑わすために、そればかりを考えていた。君が、なぜそんなことを呟いたかは分からなかったが、強く胸に、心に、跡を残した。
生まれ変わっても、僕は君のそばでこうしていたい。それだけで幸せだと思えた。でも、一つだけ贅沢を言うならば、あいつよりも先に君に出会い、そして僕のものにしたかった。そしてさらに言うならば、君を自由にしてあげたかった。何とも戦わずに済むように。辛い思いを小さな胸の奥に隠さないように。
僕のソレは願いに近かった。

急に、波の音と君の音色だけの世界に、機械的な音が割り込む。君が好きな曲が、場違いに流れた。地震が来たかのように君は飛び起き、すぐさま携帯の画面に目を落とした。そうするや否やそそくさと僕に目配せをしてから、深呼吸をした。
「もしもし」
君の声が、少し、大人びていた。

2006年08月01日(火)

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