蛍桜

≪BACK TITLE LIST NEXT≫

何も何もない僕等

私が一番初めに
生々しくリスカをしたいと思ったのは
いつのことだったか忘れてしまった

最近のことに思えるけれど
心の時間は随分と経過している

あの日、雨に打たれながらバス待ちをしていて
泣きそうになって
死にたい、と思うよりもカッターがほしい、と思った
想像の中でしか知らないリスカを
不幸の象徴としたかったのかもしれない
その傷つけた傷跡を誇りにしたかったのかもしれない

今日、雨に打たれながらバス待ちをしていて
電車を乗る前には、溢れそうだった涙も感情も
なんだか途切れてしまって
重いカバンを引きずりながら
リスカをしたいと思ったあの日のことを思い出していた
あの日も、こんな雨だった
ジメジメとした、でも、どこか優しい、そして悲しい雨




リスカをしていた彼女のことを思い出した
リスカの傷跡を見たのは、彼女の手が初めてだった
痛そう、とか、怖い、とかじゃなくて
いいなぁかっこいいなぁって思った
リスカってそういうものじゃないって分かっていたけれど

友達が、リスカってかっこいいからしてるんでしょって
言ったときは、激しく否定したけれど

きっと彼女の傷を見て彼女を理解した人は居ないだろう
彼女の分身以外は
そして、あのグループの中で興味を示したのは
私だけだったのだろう
切った後の写メを笑いながら「これすごいやろ」と見せてくれた
イマイチ写メだと感じがつかめなかったけれど
やっぱり痛いだろうなぁとは思わなかった
一つの何かを見るように、こういうものもあるんだなって
こういう人間もいるんだなって漠然と受け止めていた

そんな彼女の中で私は学校だけの存在だったのだろう
学校という枠の中では友達としてやっていける
けれど学校という枠を飛び出しては友達としてやっていけない
彼女が退学した後、何も言ってこないのは
そういうところがあったからなのだろう

彼女と私は、人生の、たった一年と半年しか過ごしていない
その中でお互いを傷つけたりしたこともあった
充実していたと言えるわけじゃない
けれど彼女と過ごしたそれだけの時間
きっとこれから、伸びて行くことはないだろう
だけど、たったそれだけでよかったと思う
お互いが、人生の通過点でよかったんだと思う

本当はもっと男の話がしたかった
一年の夏休みを明けた時に、はにかんで教えてくれた話も
もっともっと聞きたかった
リスカも教えてほしかった
もっといっぱいプリクラ撮りたかった
どっかに座り込んで、ずっとしゃべっていたかった
化粧も、教えてほしかった

でも、私たちはそういう友達じゃなかった
枠の中だけの友達だったから

もし、もし次会うことが会ったらゆっくり話そう
またその傷跡を見せてね
それがあなたの生きている証だから



++

このまま電車に揺られて行ったら
どこまでいくだろうなんてロマンチックなことを考えれるほど
この電車は、どこまでも行ってくれない

ただ、一つだけ行きたい場所があった
こういう雨の日に、死にかけの顔で行きたかった
あそこなら静かに、あなたのことを考えれると思った
あの大きな敷地の外側を、歩いてみようと思った

放課後、進路担当の副担が言った言葉をうまく聞き取れなかった
それでも聞き取った範囲で理解して掲示物を探した
何か、彼のために役に立てること
私だから、ここにいるから出来ること

でも、結局目的のものは見つからなかった
私、何も出来てない 悔しい

明日は、電車に揺られて行ってみようと思った
料金も確かめてきたし、お財布の中身も確認したし
道筋もなんとなく覚えている
これだけは私にまかせろって言えるくらい通いつめてやりたい

だけど
本当に私に出来る?
きっと朝になったらいつもみたいに行きたくないって言う
それでおしまいなんじゃないの

結局、何も出来てない
何も出来ない自分が嫌だと嘆きつつ
何もやっていない自分が虚しい


++


意味も分からなく涙が流れそうになるのは何故?
机にうつぶせているだけで悲しくなる
何かを思い出したわけじゃない
だけど、泣くことを思い出したように涙が溢れる
いつも泣いちゃいけないところでその感情が襲ってくる

「もういやだ、もういやだ、全部いやだ」
そうやって叫べたらどれだけいいか
でも、そんなの私のプライドが許さない

電車を待っているだけで、どうして溢れてくるの
私は何に対して泣きたいの?
理由の分からない涙になんの意味があるの?


「死にたい」と口に出して言おうかと思った
私ってつくづくばかだ
でしゃばりで、気持ち悪くて、ばかにされて、、、
失敗を笑われて、冷たい目で見られて、しらけて、、、
空気を読めよ、自分
もっと、世渡り上手になれよ
こんなことでくじけるなよ
自分が悪いんだから
誰かが悪いわけじゃないんだから

もっと成長しろよ、自分
もっと笑えるようになれよ、自分

どうしてこんなに弱いふりなんかしてるんだよ
強いねって言われるのが嬉しいんじゃないのかよ



なんだか最近、弱いねって言われるほうが嬉しくなった
誰かに守って欲しかった
世話を焼いて欲しかった
ずっと傍にいて欲しかった
かわいくみられたかった

強いねって言われるよりも
弱いねって言われるほうがいいと思ってた

でも、それじゃだめなんだってば、自分

立ち上がれ!奮いあがれ!

笑えるんだろう
まだ限界なんかじゃないんだろう
自分に甘えているだけなんだろう
強いんだろう

意地みせろや
意地っ張りなんだろ
プライドみせろや
プライド高いんだろ

前を見定めろよ 成長しろよ 進めよ
ただ流されているだけじゃ嫌なんだろ
自分を探したいんだろ

ちゃんとここに自分がいるって証明したいんだろ
自分だけでも自分の居場所になってやりたいんだろ
泣く場所がほしいんだろ
だったら自分の中で泣けばいいんだよ
泣いたら進めよ 笑えよ くじけるなよ
弱くなんてないんだろ そんなの不幸飾ってるだけだろ

本当の自分出してみろよ
醜くて汚くて最悪な自分を顕(あら)わにしたって
そんな自分好きになってもらったって意味ないんだろ


だったらもっと大きくなれよ!自分!


2004.6.25  20:15
2004年06月23日(水)

≪BACK TITLE LIST NEXT≫

 

My追加メール

My追加

enpitu skin:[e;skn]

 

Copyright (C) 蛍桜, All rights reserved.