風のひとり言
kaze



 言えなかった言葉

18年間、ずっと言いたくても言えなかった言葉があった。
その言葉の意味、その重み、その反動を考えると
どうしても言えなかった。

言いたい・・・そんな衝動に何度駆られたことか。
その都度、自分を押さえ込み、感情に封印してきた。

その言葉を発する時はこうしよう・・・
こんな形でああしよう・・・
など、色々な形のシチュエーションを考え、
何度もシュミレーションしてきた言葉・・・


そして・・・18年が過ぎた。


もういいだろう。
もう充分だろう。

そして・・・
ようやく自分で封印を解いた。

胸につかえていたものが一気に取れたような・・・
何かホッとした安堵感と同時に、
一抹の寂しさを味わった・・・



「退社します」



ドアから外へ出た。
もう後戻りは出来ない。
目の前に広がる幾多の道の中から、
たった一つの道を選び、
そこを進むしかない。
そして新しいドアを、
自らの手で開かねばならない。




2003年01月14日(火)
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