on a wall
亜栗鼠



 主との出逢い 3

私に泊れる時間が出来た。
夕方から逢えると。

3度目に逢った日はお泊り。

初めて縄をかけられた。
縛って頂いた。
と言うべきなんだろうけれど、その頃の私には、まだよく解からなかった。
縛られているのか、縛って頂いているのか

胸と右腕だけの軽い縛りだったけれど、
縄を解かれた後は、解放感と同時に寂しさを感じた。
もっと縄を着ていたい・・・
そんな感覚


ご主人様が冷蔵庫からお茶を取り出して飲んでいた。
「欲しい?」
と言われて、頷く。
ご主人様がお茶を口に含む・・・
口移しで頂くのだと期待しながらじっと見つめていると
ゴクゴクゴクゴク・・・・
物凄い勢いで一気飲みしている
期待して見つめていたぶん、余計におかしくておかしくて
ケラケラ笑った。
ひとしきり笑ったら、ご主人様の口からお茶を頂いた。

主は、恐怖と苦痛と快楽と安心 そして笑いもくれる。
サービスのS
そういうことなんでしょうね。
常に私の心の状態を観て、状態に合わせて色々な方法で安定させる。


ゆっくりとお風呂に入って、
食事をして、
色んな事をお話しした。

前のパートナーさんの話も少し聞いた。
育ってきた環境も、悩んでいることも違ったけれど、私と重なる部分があるということは逢う前から感じてはいた。
それでも、亜栗鼠は亜栗鼠だ。世界にたった一人しかいない。
と言ってくれていた。
「辛いか?」
と訊かれた。
彼女を忘れることはないだろうし、忘れる必要もないと思う。
日記を読んでいて、彼女への思いは伝わってきたし、彼女のことをしっかりと見ていたことも分った。
同じように私のことも見てくれていると思っているから。
だから、そのことが辛いとは思わない。
ただ、私がどうしても重なってしまうことで主が辛い思いをするだけだとしたら私は違う道を探します。
そんなことを言ったような気がする。

主は、私と居ることが楽しいと言ってくれた。
そして、「私はあまり女性を抱きたいと思わないのだけど、亜栗鼠は抱きたいと思う。」と。
SMの世界では珍しいことではないらしいが、今までのパートナーさんを抱いたことはほとんどないという。
服を脱ぐ事も、身体を触らせることも無かったと。
(抱く=挿入 のこと)

そして、彼女と私が同じ名前だと言うことを聞いた。
初めて逢った日、別人だったと安心したと。


「自由になったら、好きに羽ばたけばいい。他に好きな人を作って、その人の元へ行くのも亜栗鼠の自由だ。」
ずっとそう言ってくれていた。
「私の下にいたければ、うちに来ても構わない。」
とも言ってくれていた。
私は、いつも何も答えなかった。
この頃私は、自由になれたら(離婚出来たら)主から離れるつもりでいた。
実家の近くに帰るか、強さを身につけたらどこかで一人でやり直そうと考えていた。


どんどんと何かに惹かれ、吸いこまれるような強い何かは感じていた。
けれど、愛とか恋とかいうものは感じてはいなかった。
もしかしたら、それよりももっと強い何かを感じ始めていたのかもしれない。
自分でもよくわからなかったけれど、それがSMの世界なのか。


主・・・

神よりも偉大な存在


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2002年06月26日(水)
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