on a wall
亜栗鼠



 倦怠感

元夫のお母さんから電話がかかってきた。
2時間くらい話してたか。
なんだか、どっと疲れた。
決して責められたわけじゃなく、逆に私の言う事を信用してくれる。
今までどんな生活をしていたのか、残されている借金はどんな借金なのかを聞かれた。
私の知っている限りのことと、私の予想出来る限りのことを話した。
今も借金を作り続けて失踪しているらしい。
ある程度は話していたのだけど、教えてくれと言われて今まで全く話していなかったことも話した。
そして、私に言った言い訳はきっと嘘だろうということも私も分っていたし、お母さんもそう理解している。
「そりゃ嫌になるわよね。ごめんね。」
と泣いていた。

もう、苦しくなることはない。
罪悪感に打ちのめされることもなくなった。
ただ、なんだか凄く疲れた。
私は今まで何をしてたんだろう・・・
私はあのまま一生諦めて過ごそうとしていたのか
ものすごい倦怠感。


あのまま生活していても、結局いつかは壊れていたのだ。
どちらが先に倒れるかの問題だけ。
そして、そうなったとき、私は一人で立ちあがる力は無かっただろう。

どうして主と出逢ったのだろう。
どうして私はここにいるのだろう。
どうして私は幸せなんだろう。

闇をさまよっているわけじゃなく
諦めていたことから抜け出せたことの不思議だとか
主と出逢えたことへの感謝の気持ちとか
今、主と彼とこうして一緒にいられる幸せとか
そんなことが絡まって絡まって思考回路が渋滞してしまうのだ。


昨日は
「本当に私がここにいてもいいの?」
と言って頬を叩かれた。
「どうして私?」
と聞くと
「亜栗鼠は私を受け入れた。私は亜栗鼠を受け入れた。それじゃ不満?」
と言われた。
そうなんだ。細かい理由なんて並べても不安になるだけ。
分っている。
それでも何故か口にしてしまうことがある。

“私のこと好き?”
なんて質問、昔からほとんどしたことがない。
聞かれたから答える“好き”なんて、そんな言葉はいらないから。
“どこが好き?”
ここが好きだと答えられたら、それが無くなったら好きじゃなくなるのかと不安になるだけ。
分っているから聞きたくない。


「噛んで下さい。」
とお願いして、首筋を・・胸元を噛んでもらった。
痕をつけてもらって、ご主人様の物だという痕を残してもらって安心する。

痕に頼って自分の存在を確認するようじゃいけないのだけど
もう少し、もう少しだけ痕を下さい。
自分の存在を見失わないように。
もう、見失いたくないから。
もう、見失わないから。
あなたを絶対に離したくないから。

今は、もう少しだけ痕を下さい・・・

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2002年06月25日(火)
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