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| 2005年03月13日(日) ■ |
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| Vol.553 意味のない悔し涙 |
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おはようございます。りょうちんです。
「もう大丈夫ですから…」。そう答える受話器からの彼の声は今にも消え入りそうで、全然大丈夫なんかじゃないことは明らかだった。真夜中過ぎにかかってきた友人からの電話。今までにもこうやって彼から相談事を持ちかけられたことは何度かあったけれど、こんなにまで意気消沈していることはなかった。 友達として、俺はどうしても彼の力になりたいと思った。しかし俺の頭でどんなに考えてみても、解決策を見出すことは難しかった。それならばと落ち込んでいる彼を元気づけるコトバをいくつも並べてみたのだけれど、彼の悩みはとてつもなく大きくて、受話器の向こうでそんなコトバがくるくると空回りするばかりだった。そして最後に言った彼の一言。大丈夫なんかじゃないのに、大丈夫だと言った彼の強がり。 何の解決もできないまま電話を切ったあと、彼の元へ車を出そうと俺は真剣に考えていた。電話越しじゃなく、直接彼に会って話を聞けば少しは進展があるかもしれない、そう思ったのだ。しかし、夜になって降り始めた雨が夜半過ぎには雪に変わる予報が出ていたこと、翌朝に俺は絶対にはずせない仕事が待っていたこと、という理由で彼の元へと行くことをあきらめたのだった。 悔しかった。ココロの底から悔しかった。俺は彼の友達なのに、何ひとつしてあげられない自分に腹が立ってどうしようもなかった。行き場のないもどかしさから逃れようと頭から布団をすっぽりとかぶって眠ろうとしたけれど、眠れるはずなんてなかった。そして彼のことを考えていると、涙がどんどんあふれてきた。彼は今もっと苦しんで、涙を流しているに違いないのに。俺が泣いたってどうしようもないことはわかっているのだけれど、意味のない悔し涙を止めることはできなかった。 窓の外から聞こえていた雨音が静かになった。どうやら予報通り、いつのまにか雨は雪に変わったようだ。
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