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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2004年11月09日(火)
Vol.518 ドキドキしたピュアな気持ち

おはようございます。りょうちんです。

♪いくつも恋して順序も覚えてキスも上手くなったけど 初めて電話する時にはいつも震える♪ 俺が高校生の時にヒットした曲のこの歌詞に、俺はとても共感させられた。今でこそメールという最新兵器を誰もが簡単に使う時代になったが、当時は好きな女の子とコンタクトを取るには電話という方法を忘れてはならなかった。
朝の通学路で好きな女の子とすれ違ったとか、目が合ったとか、「おはよう」と言ってくれたとか、それだけで有頂天になっていた17の俺は、ついに抑え切れなくなった募る想いを彼女に告げると決心した。今考えると本当にあさはかで無防備な告白大作戦だが、「ちょっと話したいことがあるので、今度会ってくれますか?」というコトバを伝えるためだけに、俺はひとり電話の前で悪戦苦闘していた。
電話のやりとりがすんなり進むよう、まず台本を作りセリフも考えた。受話器を取るのが彼女本人とは限らない。彼女のお父さんが突然、「うちの娘とはどんな関係かね?」なんて聞いてくるかもしれない。そんなのでビビっちゃだめだ。ひょっとして彼女が不在だって可能性もある。俺は考えられるさまざまな場面を想定し、いくつもシュミレーションしてみた。次に、電話をするタイミングにも気を使った。7時は夕食の時間か。9時はお風呂に入ってるかもな。10時は遅すぎて問題外だ。やっぱり8時がベストかな。でもきっかり時報とともにコールするのも、計画的と思われちゃうかも。5回呼び出して出なかったら、今日はやめようか。なんて、本当にくだらないことにまで気を回して俺は奮闘した。受話器を取っては置き何度もダイヤルをためらいながら、そして七転八倒の末、どうにか俺は彼女と会う約束をするまでにこぎつけることができた。
しかし結局。俺の告白大作戦は見事に失敗に終わった。高校2年生で経験した初恋は、こっぱみじんに玉砕した。彼女の乗った電車を見送ったあと、木枯らしの吹く11月の夕暮れの中、俺は自転車のペダルを思いきり漕いで家路に急いだのだった。
あの恋は実らなかったけれど。電話するだけでドキドキしたピュアな気持ちを、ちょっと懐かしく感じることがある。俺はあの気持ちを、ずっと忘れないでいたい。