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| 2004年10月15日(金) ■ |
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| Vol.512 青い柿の実 |
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おはようございます。りょうちんです。
実家の庭の片隅に、一本の柿の木がある。けして大木とは言えないこの木は俺の生まれる前から存在していて、毎年秋になるときまっておいしい柿の実を実らせてくれる。たわわに果実を実らせる年もあれば、ほとんど実をつけないまま冬を迎えてしまう年もあって、その年によって実る果実の数にかなりのばらつきはあるのだが。秋になって庭の柿の木に実がなるのを、俺は毎年楽しみにしているのは事実である。 この柿の木が、今年はこれでもかというほどたくさんの実をつけた。どうやら今年は柿の当たり年らしい。見事なまでにたわわの果実をぶら下げた枝は、重力に逆らえずにしなだれるほどになっていた。しかし先日の台風のせいで、そのうちの枝の一本がぽっきり折れてしまった。強い風の力と柿の実の重みで折れてしまった枝は、まだ実りきっていないたくさんの青い実を残したままで。たたでさえ小ぶりな柿の実なのに、成長の途中だった青い実は手のひらですっぽり覆い隠してしまえるほどの小ささである。 今年はたくさんの柿の実がなったとよろこんでいたのに、落ちてしまった実をそのまま捨ててしまうのはもったいない。そこでなるべく傷の付いていない、なるべくオレンジ色に熟れかけた実を選んで、モノは試しと食べてみることにした。甘みも味もまだ薄いけれど、渋さはまったくない。しゃくしゃくした柿特有の歯ごたえがあって、やわらかいものよりも固めの柿の方が好きな俺には十分おいしく感じられた。俺は、バケツいっぱいに収穫できたまだ青い柿の実のいくつかをもらって帰ることにした。このまま少し放置しておけば、もう少しオレンジ色に変わってくれるだろうか。 甘い香りを振りまいていた赤黄色の金木犀の花も落ち、見上げれば高い青空で。そうして俺はまた、秋の色が少しずつ深まっていることに気がついた。
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