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| 2004年09月06日(月) ■ |
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| Vol.504 びーちくりん |
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おはようございます。りょうちんです。
それはまだ夏が始まったばかりの頃のこと。うだるような暑さのせいで十分に回転することのできない頭のまま、流れてくるFMに俺はぼんやり耳を傾けていた。DJの話す軽快なトークも頭には残らず、何についての話題なのかさえもよくわからない状態だった。そんな時、彼女の話す聞き慣れないひとつの単語に、俺のレーダーは反応してしまう。「びーちくりん」。彼女はしきりに「びーちくりん、びーちくりん」と連呼している。 「びーちくりん」とは何なのか? そのコトバが放つどことなくいやらしく淫靡な響きに、俺は一気に「びーちくりん」というものに惹きつけられた。さらに聞いていると、「真夏の空の下で水着モデルと一緒にびーちくりん大作戦に参加してくれる人を大募集!」なんて言っている。水着モデルと一緒にやる「びーちくりん大作戦」とは、いったいどんな卑猥な大作戦なのだろうか? そんないやらしい大作戦に、この俺も参加することができるのか? まだお昼前だというのに、俺の勝手な妄想は見る見る間に膨れ上がった。 しかしさらに彼女の声に耳を傾けていると、次第に「びーちくりん」とは何なのかがわかってきた。どうやら、浜辺のゴミ拾いをしたりきれいに掃除することらしい。「びーちくりん」は「BEACH CLEAN」のことで、週末に参加者を募って一斉に浜辺の掃除をするイベントが「びーちくりん大作戦」なのだそうだ。なーんだ。いやらしくも卑猥でもなんでもなかった「びーちくりん」、ちょっとだけがっかりした。そんないやらしい大作戦なわけがないのは当たり前だけど、でもそのネーミングはどうにかならないものか。 それからすこしして、今年は俺も海に行った。海水浴やBBQをしてさんざん遊んだあと、ふと浜辺を見渡すと至るところにゴミが落ちているのに気がついた。あの日に募っていた「びーちくりん大作戦」には参加できなかったけど、俺はひそかにゴミを集めて、たったひとりだけのささやかな「びーちくりん」を実行した。
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