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| 2004年06月02日(水) ■ |
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| Vol.484 23時の新宿駅 |
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おはようございます。りょうちんです。
23時の新宿駅。週末でもないのに、真夜中に途切れを知らない人ごみの渦。肩を過ぎてゆく風が心地良くて、俺は柵にもたれて行き交う人々をただぼんやりと眺めていた。この場所にいるたくさんの人たちは、いったいどういう人でどこへ向かってるんだろう? ふとそんな疑問がわいてきて、しばし人間観察をすることにした。 もう消えてしまった巨大ビジョンの前の信号が青に変わると、大きな黒いかたまりに見えた人の群れが一斉に動き出して、駅の地下道へ続く階段へと吸いこまれていく。一方その逆に、階段を上がって地上へと出てきた人たちは蜘蛛の子を散らしたように四方に散らばり、ネオンの街へと姿を消していく。 よれよれのくたびれたスーツで千鳥足のおやじ。それを必死でサポートする新入社員らしき人。少し派手な化粧と服で身を固めた急ぎ足で歩く女の人。大きな袋をぶら下げた淡い色の着物を着た上品なおばさん。この春東京に出てきてやっと都会の生活にも慣れてきたカンジの男の子。コンパで上がったテンションが下がらない大騒ぎの学生たち。じゃらじゃらのケータイを手にしてメールに夢中な少女。そして俺だって、この人ごみを構成しているひとりなのではあるのだけれど。 でもきっと誰もが、ひとりひとり違った想いを胸に今日を過ごしてきたんだろう。それは端から見たところで、どういうものなのかはわからないけれど。喜びも、悲しみも、苛立ちも、希望も、不安も、優しさも、幸せも、不幸せも。それぞれがそれぞれの想いを抱いて、目的の場所をめざしてこうやって歩いている。 30分近くもこの不規則な人の流れを眺めていただろうか。終電の時間が迫っているようだ。駅への地下道へ続く階段に向かって、駆け足で滑りこんでいく人が増えてきた。彼らは、彼らを待つ最愛の人のもとへと帰るのだろうか。そうでない人は、いつかこのとてつもなく大きな東京という街の中で、ベストと呼べるパートナーと偶然を重ねて出会えるのだろうか。そんなことをただ漠然と考えつつ、やっとのことでもたれた柵から重い腰をあげた俺は、再び歩き始めた。
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