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| 2003年04月13日(日) ■ |
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| Vol.292 祖母 |
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おはようございます。りょうちんです。
母の実家が家のすぐそばにあったため、ちびっこだった俺はしょっちゅう母の実家に遊びに行っていた。母方の祖母はそんな俺をいつも歓迎してくれて、わがままな俺のおもりをいつも買って出てくれていた。 祖母は、とても几帳面な人だった。部屋だけじゃなく玄関も庭も家中すべてがいつもきれいに整理されてた。いちばん印象に残っているのは、まだ俺が小学校に上がる前の頃のこと。祖母は俺にみかんの皮をむいてくれた。おなかがへっている俺は早く食べたいと急かしたのだが、几帳面な祖母はみかんの房の薄皮まで丁寧にひとつひとつきれいにむいて手渡してくれた。今でもいいかげんな俺には到底できっこないことだと、あの時祖母をすごいと思った。 俺が高校を卒業する頃から、祖母は持病の糖尿病を悪くさせて入退院を繰り返すようになった。祖母の作ってくれるきゅうりの古漬けが大好きだった俺のために、祖母は体調の良い時を見計らって大量の古漬けを漬け込んでおいてくれた。きゅうりの古漬けを食べるたび、祖母の様態を気にせずにはいられなかった。 大学3年の夏、ひどく暑くてなかなか寝付けなかったあの夜。さよならは突然にやってきた。病院から祖母の様態が非常に悪いと連絡を受け、あわてて車に乗りこんだ。しかし、遅かった。病院に着くと叔母が待っていて、祖母が亡くなったことを聞かされた。涙が止まらなかった。静まり返った真夜中の病院に、泣き声だけが悲しく響き渡った。 葬儀の時、棺の中の祖母はとてもかわいい顔をしていた。まるで子供のようなその顔は穏やかに微笑んでいて、気丈な祖母しか知らない俺にはすこしだけ別人に見えた。出棺の時も、俺はさよならは言わなかった。さよならの代わりに「またね!」と言った。だって、会いたくなればココロの中で祖母にはいつでも会えるのだから。そして実際に、こうやって時々祖母のことを思い出して会っているのだから。大好きだったきゅうりの古漬けは、もう2度と食べられないけれど。
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