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2008年06月16日(月)
「降水確率50%の予報が的中!」とは、どういう状況なのだろうか?

『GetNavi(ゲットナビ)』2008年7月号(学習研究社)のコラム「クイズ王・道蔦岳史の大人のための明日使える『クイズ』講座」より。

【体脂肪率や消費税なども含めて、●%という数字は日常的によく目にするものだが、梅雨入りも間近なこの季節、今月の問題に即答できる人は、果たして何%いるだろうか。実は気象予報士を目指している人に出題しても正解できなかった難問なのだが、25文字以内での解答をお願いしたい。

《問題》「降水確率50%」という天気予報が当たる……とは、どういうこと?

 気象庁の天気予報では6時間刻みで降水確率を発表しているが、これは1mm以上の雨が降る確率を表しているものである。この確率には降水量は関係ないので、ほんの少しの雨でも土砂降りでも、雨は雨である。また雨の降っている時間も関係がないので、6時間降り続いても、数分の雨でも、雨には違いない。では、降水確率50%の予報が的中! とは、どういう状況なのだろうか。
 実はこの降水確率50%という予報は、そもそも決して外れることのない予報なのである。考えてみれば雨が降る確率50%、降らない確率50%なのだから外れる訳がない。決して外れない「確率予報」が外れるケースは、確率0%で雨が降るか、確率100%で雨が降らない場合しかないのである。では外れようのないものが「当たる」とはどういうことか。25文字以内での模範解答はこれだ。

《正解》「統計をとれば、この予報のときには50%雨が降っていた」

 つまり統計的な正確さでしか、的中かどうかを判断できない予報だということなのである。
 降水確率が発表されるようになったのは1980年のことで、すでに長い時間を経ているため、予報の精度は上がってきているはずだ。しかし確率50%という予報が出された場合、どう判断するかは結局、気に入ったお天気お姉さんの顔を見ながら自分で考えるしかない、ということである。】

〜〜〜〜〜〜〜

 Wikipediaの「降水確率」の項には、
【降水確率は、予報区内で一定の時間内に1mm以上の雨または雪(融けたときの降水量に換算する)が降る確率であり、0%から100%まで10%きざみの値で発表される。予報区内であれば場所については特定せず、どこでも同じ確率である。降水量については予測していない。
 降水確率の計算は、過去の降水の情報をもとに数値予報を行い、統計処理により確率を算出する。この際、1%の位は四捨五入するため、降水確率0%といっても実際には0から5%未満の値である(以前は三重県など一部の地域で5%未満という数値が存在したこともあったが、現在は10%単位となっている)。】
と書かれています。

 「降水確率」が気象庁から発表されるようになったのは1980年からだったそうで、確かに最初の頃には「降水確率●%」というのが具体的な数字で発表されるのはけっこう斬新でした。
 それまでの天気予報は「晴れ」「曇り」「雨」の組み合わせだけでしたから(「雪」とか「あられ」「雷」なんていうのもありましたが)。
 
 僕は「降水確率50%」だと、「どちらかというと雨が降りそう」な気がしますし、「30%」くらいでも傘を持っていったほうがいいかな、と思います。率直なところ、「50%なんて曖昧な数字じゃなくて、降るのか降らないのかハッキリしてくれ!」と言いたくもなるのです。
 おそらくみんな同じように感じているのだろうと思うのですが、それでも、「降水確率」の発表がはじまって30年近く、おそらく「統計的な精度」は上がっているのでしょうけど、「50%」っていう降水確率は発表され続けています。

 この道蔦さんの話を読んでみると、「降水確率」というのは、それが「0%」か「100%」でない限り、少なくともその場では「決して外れない」あるいは「外れているのかどうか評価しようがない」ようです。さらに、「1%の位は四捨五入している」ということであれば、「0%」も「本当は1〜4%だった」のかもしれませんし、「100%」も「95〜99%だった」のかもしれません。「4%」であれば、「このような天気が100回あれば、4回は雨が降る」ということですから、「高い確率ではないけれど、統計的にいえば、そんなに珍しいことでもない」のですよね。

 まあ、そんなことまで考えはじめると、ずっと傘が手放せなくなってしまうので、最終的には「自分で判断するしかない」のですけどね。
 結局のところ、これだけいろんな科学や統計学が進歩しても、「天気」というのは、まだまだ完全に予測がつくものではないのだ、ということだけは、まぎれもない事実のようです。