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2007年10月16日(火)
部屋に遊びに来た友達に「本を貸して」と頼まれたとき、どう対応しますか?

『作家の読書道』(「Web本の雑誌」編・本の雑誌社)より。

(「蔵書を「貸して」と頼まれたときの作家たちの反応。
 まずは吉田修一さん(代表作『パレード』『パーク・ライフ』等)の場合)

【インタビュアー:読み終わった本はとっておきますか?

吉田修一:学生の頃に読んだ本は、人の本ばかりだから全然持ってないんです。だから、買った本はなるべく手元に置いておくようにしていますね。売ったことも、あげたこともないです。たまに「読ませて」とか言われると、同じ本を買って渡すようにしています。貸さないとケチみたいだし、返ってこないのもイヤだし(笑)。】


(森絵都さん(代表作『DIVE!!』『風に舞うビニールシート』等)の場合)

【インタビュアー:森さんの人生を変えた、そんな本はありますか。ちょっと大げさですけど……。

森絵都:気に入った本はすぐ人に貸したりあげたりしちゃうから、好きな本ほど手もとに残っていないんです。(以下略)】


(岩井志麻子さん(代表作『ぼっけえ、きょうてえ』『trái cây(チャイ・コイ)』等の場合)

【インタビュアー:買った本はきちんと取っておくほうですか。

 あまり大事にはしていないですね。本は消耗品という考え方なので。特にサインしてもらった本などでなければ、貸すし、あげるし。私は心の中にあるものを大事にしたいのであって、本はただの紙ですからねえ。】

〜〜〜〜〜〜〜

 この本のなかでは、たくさんの人気作家が「本」に対するざまざまな思い出を語っているのですが、「作家」のなかでも、「本」に対する接し方というのは人それぞれみたいです。

 ここに引用させていただいた3名のなかで、僕がいちばん共感できたのは吉田修一さんで、僕にとっては、「部屋に遊びに来た友達に、『本を貸して』と頼まれたときに、どう対応するか」というのは、ものすごく難しい問題だったのです。

 「本」というのは、人に貸すとなかなか返ってこない傾向があるのです。しかも、値段がそんなに高いわけでもなく、一度貸してしまうと「早く返して」と催促するのもなんだかちょっと気まずいのですよね。
 本好きの人には分かっていただけると思うのですが、自分の本棚の一角から、一時的にでも「そこにあるべき本」が失われてしまうというのは、とても不安なものなのです。にもかかわらず、「貸して」と頼まれると、嫌われたり、ケチなやつだと思われるのがイヤで断ることもできないし、だからといって、すぐに自分で買いなおすというのも、やっぱりちょっと勿体ないし、「友達を信じられないのか」と自己嫌悪に陥ってもしまいます。
 そして、「貸して」と頼まれる本の多くは、僕も気に入っていたり、ちょっと珍しい本だったりするものですから、一昔前に田舎で生活していた僕にとっては、「この本がもし返ってこなかったら……」という危機感もひときわ強かったのです。
 今みたいにAmazonでいつでも好きな本が検索でき、買える時代(そして、それを買い漁ることができるくらいの経済力がある年齢)だったら、少しは違っていたのかもしれませんが……

 その一方で、「自分が面白いと思った本を、自分が好きな人に(これは、「恋愛関係に限らず、です)読んでみてもらいたい」という気持ちも、確実にあったんですよね。あの頃は、ネットで感想を書いて誰かに読んでもらうなんてことはできなかったので、誰かと感想を語り合いたいって「飢餓感」は、今よりいっそう強かったのです。

 吉田修一さんの「たまに『読ませて』とか言われると、同じ本を買って渡すようにしています」という発言を読んで、僕はもう「ああ、僕もそうしたかったんだよずっと!」と強く頷いてしまいました。どうせなら古い本を貸して、自分が新しい本を手元に置いたほうが得なのかもしれませんが、本って、不思議なことに他人の「中古」はちょっと気になるのに、自分の「中古」には愛着が湧いたりするものですし。
 「本を返さないようなヤツとは、友達になんかなるな!」という意見もおありでしょうが、僕自身も本というのは長い間借りっぱなしになることが多いし、そういう「アバウトさ」があるくらいの人のほうが、友達としては付き合いやすかったりもしますからねえ。
 
 「この本を貸すくらいなら、本代あげるから、自分で探して買って!」って言いたいときもあるんですよほんと。もちろん、それを実際に口にしたことはありませんけど。
 森さんや岩井さんのような「どんどん本を人にあげられる人」って、本当に凄いなあ、と僕はただ、感心してしまうばかりなのです。