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2007年10月17日(水)
「NHK視聴者コールセンター」への困った質問と回答例

『日経エンタテインメント!2007.11月号』(日経BP社)の特集記事「映画・音楽・テレビの裏側」の「NHKの疑問〜日本でただ一つの公共放送は疑問がいっぱい」より。

【Q:コールセンターに寄せられる最も多い問い合わせって何?

 NHKには「視聴者コールセンター」と呼ばれる問い合わせセンターがあり、常時約200人のコミュニケーターが交代で電話の受付をしている。問い合わせの内容により、番組内容などを担当する「放送・経営」部門と、受信料などを担当する「営業」部門の2つの部署に分かれている。
 「放送・経営」部門には1日に3000件を超える問い合わせがあるという。15秒に1件はコールがある計算だ。中でも一番多いのは「放送内容の変更」に関するもの。災害時の緊急放送などにより、予定の番組が中止になると急増する。『冬のソナタ』にはじまる韓国ドラマブームでは「毎週楽しみにしてるんだから!」というヒステリー気味の人もいたそう。
 無茶な問い合わせも多数。スポーツ中継では「スライダーとカーブはどう違うんだ」とか、「どうしてさっきのがイエローカードで、今のは反則じゃないんだ」といった質問も。さらに「『プロジェクトX』の主題歌『地上の星』の歌詞が分からないから歌ってくれ」と言われ、電話口で歌ったこともある。「どんな問い合わせでも、できる限りの対応はしたい」(担当者)

<センターへの困った質問と回答例>
(1)今から言う日本語をロシア語に訳してください。

担当者「『ロシア語会話』の視聴者からだと思いますが、即答は無理ですので、日本語の原文を頂戴し、訳したものを後日お送りしました」


(2)民放のバラエティ番組がくだらなすぎる!

担当者「まさか他局のことまで言われるとは…。それでもご意見は拝聴し、主要な放送局が集まる連絡会でお伝えをいたしました」


(3)紅白を生で見たい。どうして抽選が当たらないんだ!

担当者「紅白の抽選は警察官立会いのもと厳正に行っていますので、その旨をお伝えして、何とかお怒りを収めていただきました」】

〜〜〜〜〜〜〜

 こんなのばっかりじゃない、と信じたいところではありますが、これが「視聴者コールセンターの現実」なのかもしれませんね。僕の知り合いの女性が勤めていた某有名企業のコールセンターも、けっこう大変だったそうですし。
 もちろん、まともな質問や頷けるクレームもあるのですが、「毎日電話してくる、とにかく話し相手が欲しいだけの人」とか「明らかに電話してくる本人の責任なのに、やたらと高飛車にクレームをつけてくる人」って、けっこういるらしいんですよね。いわゆる「セクハラ系」の電話をかけてくる人以外にも、「困った電話魔」は、けっこう存在しているのです。

 僕は別にNHKに好感を抱いているわけではないのですが、この「視聴者コールセンター」で働いている人たちは、ものすごくストレスたまるだろうなあ、と同情してしまいました。仕事とはいえ、誰かの「行き場のない怒り」みたいなものを1対1で受け止めなければならないのですから。
「なんで『冬のソナタ』を放送しなかったんだ!」みたいなクレームに対しては、逆に「平身低頭して謝るしかない」わけで、かえって担当者は気楽なんじゃないかとは思いますけどね。
 災害時の緊急特番などで予定の番組が中止になった際に、コールセンターにクレームをつけるなんてことは、内心不満に思っていてもなかなかできることじゃないだろうという気がするのですが、「お互いの顔はわからないけど、確実に電話の先に人が存在している」という状況は、人間を過剰に「正直に」してしまうのかもしれません。

 しかし、これを読むと「視聴者というのは、NHKのコールセンターにこんなことまで期待しているのか」と驚くばかりです。「スライダーとカーブの違い」とか「『地上の星』の歌詞は?」なんていうのは、「インターネットの検索エンジンで調べろよ!」とか、「近くのCD屋に行けよ!」と思わず突っ込みを入れたくなるのですが、そんな「お客様の声」にも、真摯に応えているNHK!
 いや、親切だとは思うけど、そんなことに受信料が使われているのって、いったいどうなんだろう?とも感じます。ロシア語の訳を頼んできた人も、本人はものすごく困っていたのでしょうが、(たぶん)無料で訳したものを送ってあげるなんて、さすがに「過保護」なのではないかと。

 テレビ局のなかには、(某TBSのように)視聴率稼ぎだけが目的なんじゃないかと感じるくらい酷いところもありますが、その一方で、「視聴者だって、こんなにテレビに甘えている」のも事実なんですよね。
 それにしても、この「視聴者コールセンター」の仕事そのものが、『プロジェクトX』のネタになりそうだよなあ、もう番組は終わっちゃったけど……