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2007年01月22日(月)
「飛び込み自殺者の遺族への賠償請求」の実情

『雑学図鑑・街中のギモンダイナマイト』(日刊ゲンダイ編・講談社+α文庫)より。

(「イタズラや迷惑行為をした際の賠償請求は?」という項から)

【ちょっと前のことだが、夫婦ゲンカの腹いせに「江の島に不審者上陸」と海上保安庁にウソの通報をした男性に対し、「国側が800万円の賠償請求を検討中」と報じられたことがあった。このケースでは、不審者捜索にあたった巡視船や航空機の燃料費、職員の残業代の合算が約800万円になったと報じられた。その後、”加害者”と海上保安庁との間で示談が成立。加害者が実損額の130万3923円を支払うことで決着した。
 このほかにイタズラや迷惑行為における賠償請求の実態はどうか。


●電車の運行を妨害した

 酔って線路内に立ち入った、踏切の中で車を停止させたなどが考えられるが、「車両や踏切の修理代、振り替え輸送にかかった経費など”実損分”のみ請求します」(小田急電鉄広報部)、「故意かそうではないかなど、ケースで判断します」(JR東日本広報部)との回答。過去の具体的な請求例は「相手があることなので……」といずれもノーコメントだったが、電車のガラスに落書きして傷つけた大学生に数百万円を請求した南海電鉄、踏切内で列車と衝突事故を起こしたトレーラーの運転手らに億単位の賠償請求をしたJR西日本らの例がある。よく「飛び込み自殺者の遺族は、鉄道会社から莫大な賠償金を請求される」といわれるが、「遺族の心情などを考えると、請求したとしても全額は受け取れない」(鉄道関係者)のが実情だとか。


●山や海で捜索隊を出動させた

 イタズラ通報によるものか、実際に遭難したかは別にして、基本的に警察や海上保安庁による捜索費用は請求されない。ただし、地元山岳会や民間レスキュー隊など、民間組織が出動した場合は別だ。1人あたり1日4万〜6万円の人件費がかかり、民間ヘリを飛ばそうものなら1時間あたりで50万〜150万円という額の金が消えていく。数日の捜索で優に1000万円以上かかるのだ。】

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 「飛び込み自殺者の遺族は、鉄道会社から莫大な賠償金を請求される」という噂はよく耳にするのですが、実際は「請求される」ことはあっても、鉄道会社側も徹底的に取り立てるというわけではないみたいです。まあ、鉄道自殺をしようというところまで追い込まれた人の気持ちと遺族の感情を考えれば、そこまで鬼にはなれない、というところなのでしょうね。この記事で最初に出てくる「夫婦ゲンカの腹いせに……」なんていうのは、さすがにこのくらいの賠償を請求されてもしょうがないのではないかと思うのですが。
 それにしても、どうして夫婦ゲンカの腹いせが、海上保安庁へのウソの通報なのか、かなり理解に苦しむ話ではあります。

 そして、この記事を読んでいて驚かされるのが、「山や海での捜索にかかる費用」です。よくテレビなどでやっている「地元山岳会の捜索活動」って、1人当たり日当が4〜6万円も必要なのか……当然2、3人で捜索なんてことはないでしょうから、捜索が数日に及べば、家が一軒買えるくらの費用にすぐなってしまいますよね。だからといって、「お金がもったいないから、探さなくてもいいです」というわけにもいかないでしょうし。登山というのは、そういう意味でも、「危険と隣り合わせ」の趣味だと言えるのかもしれません。僕は登山をしないのでよくわからないのですが、「遭難保険」とかあるのでしょうか?
 それにしても、警察とか海上保安庁っていうのは、そういう危険を伴う捜索活動を無料でやってくれるのですから、すごくありがたい存在なんですね。あまりお世話になりたいとは思いませんけど……