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2006年11月30日(木)
デパートの「店内放送」は、君に語りかける

「週刊SPA!2006.11/28号」(扶桑社)の特集記事「業界別『隠語』辞典」より。

(デパートで使われている「隠語」の数々)

【ある百貨店では、店内放送で「【伊丹よりお越しの○○様】、3階婦人服売場へ」と流れた場合、婦人服売場でクレームが発生したことを全館に知らせる合図なのだ。中でも西武百貨店にはオリジナル隠語が多く、【西野守子】さんが店内放送で呼ばれたときは、店内に不審物があったときの合図。ほかに、火災の発生を意味する【西武守(にしたけまもる)】、事故発生時の【西新(にしあらた)】など、西武では「西」を多用しているらしい。
 また、高島屋、京王、京成百貨店では、食事で職場を抜ける際は、店員が【有久】と声をかける。「有」は八の隠語で、米という字を分解すると八十八になることから、有→八→米→食事を意味し、「パッパ(88)と食べてこい」が語源とか。ほかに、【はの字】(松屋銀座)、【きざ】(日本橋三越)、【ぎょく】(大丸)といったり、さまざま。
 食事よりお客の耳に入れるのが望ましくないのがトイレ休憩だ。【むらさき】【ピンク】【一番】とこちらも百貨店によって番号、色など、多種多様。
 では、お客のことを何と呼ぶのか?店員にとって一般的に喜ばしい客のことを【五八様】5×8=40と呼ぶそう。つまり、「しじゅう来てくれるお客様」から、常連客の意味で使うとか。
 反対に、喜ばれぬ客(?)といえば万引犯。山本リンダの歌『狙いうち』から【ウララ】と呼ぶ店も。
 また、警察用語の「ホシ=犯人」を引用して、万引犯を【スター様】と呼ぶ店もあり、逃げた万引犯を店内から逃がすまいと、従業員連絡として「ただ今スター様が3Fから降りていきました」などと放送するんだとか。かえって一般の客の注目を浴びやしないか!? 「【ただいま店内は大変混み合っております。お荷物には十分にご注意ください】」という店内放送。これが流れたときは、実際に店内で万引や置引が発生したとの合図だそう。ちなみに、店内放送で「雨に唄えば」が流れたときは、本当に雨が降り始めた合図のため、商品に雨よけをしたり、雨用の包装を心がけよということなんだとか。ボーッとしていたら聞き逃しそう!】

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 デパートで買いものをしていると、店内放送の多さに煩わしくなることもありますし、「なんでそんなことをいちいち全館放送しているんだ?」と疑問になることもあるのですけど、あれは実際は「隠語を使った業務連絡」なのだということのようです。日頃聞き流しているだけのあの放送も、こういうことを意識して聞いていると、けっこう面白く感じられるかもしれません。「スター様」なんていう店内放送は聞いたことがないし、かえって目立ちそうなので、本当に放送で使われているのかは疑問ですが。
 しかし、そんな「解読」にばかり夢中になっていると、逆に、デパートという場所のトラブルの多さに、うんざりしてしまう可能性もありそうです。
 それにしても、「食事に行く」とか「トイレに行く」なんていうことは人間にとっては生きるために最低限必要な行為であり、「やって当然」にもかかわらず、それは「お客様の前では、あまりおおっぴらに口に出してはいけないこと」だと、いまだに認識されているのですね。デパートなどでは、会社や工場のようにあらかじめ決められた「昼休み」がありませんから、店員さんたちは、みんな交替で休憩・食事を摂るということになるはずですし、「目の前のお客さんにモノを売るだけ」のように思われがちなデパートの店員というのも、そんなにラクな仕事ではなさそう。
 こういう「隠語」っていうのは、本来「お客にとっては知らないほうが幸せなこと」なのでしょうけど、やっぱり、気にはなるんですよね。